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私募債とは?その特徴や活用のポイントを解説

(写真=Vitalii Vodolazskyi/stock.adobe.com)

企業が資金調達する方法としては、金融機関からの借り入れを思い浮かべる人が多いと思います。しかし、銀行等からの融資を受ける場合、審査が厳しく、時に担保や保証人を求められることが多いため、中小企業の中には迅速な資金調達が難しいケースもあります。

今回紹介する「私募債」は、借り入れによらない資金調達方法として注目されていますので、内容を押さえておきましょう。

私募債の特徴

まず、私募債(しぼさい)の特徴について説明します。融資とはかなり異なる部分があるので注意してください。

私募債とは

私募債とは、企業が発行する社債です。国は借金をするために国債を発行しますが、社債はそれと同じように、会社が借金をするため債券の発行し、買い取ってもらうことで資金調達を行います。会社が発行する国債のようなもの、とイメージしてください。広義には借り入れ等と同じ「デット・ファイナンス」に分類されます。メリットとしては以下の要素が挙げられます。

・担保が不要
・償還期間や金利を自由に設定できる
・銀行を通さずに発行可能(銀行引受私募債を除く)
・株式発行と違うので会社の経営に介入しない

公募債との違い

会社が発行する債券には、私募債と公募債があります。公募債との違いは、私募債は少数の投資家に(打診して)販売するのに対して、公募債は株式や国債のように証券会社を通じて広く購入者を募ります。

公募債は証券会社で手続き等を行ってくれるので負荷は少ないですが、手数料等がかかります。私募債は全部自社で行わなければなりませんが、コストは低く抑えることができます。

銀行からの借り入れとの違いは?

間接金融である銀行借入とは異なり、資本市場からの「直接金融」です。借入と比較すると以下のような違いがあります。

・多額の資金調達が可能
・長期間返済猶予がある
・期日一括返済可(借入は毎月分割返済が多い)
・信用情報照会がない

一括で利息を含めて私募債の購入者へ返済しなければならず、その時の経営状態によっては一気に資金がショートしてしまう可能性もあります。

私募債の種類、金額、条件等

私募債には大きく分けて「少人数私募債」と「プロ私募債」があります。それぞれ、発行条件や発行金額等に違いがあります。以下の表を確認してください。

  少人数私募債 プロ私募債
対象者 知り合い、縁故者、関係者 機関投資家限定
発行人数 50名未満 制限なし
発行金額 1億円以上 制限なし
一口当たりの最低発行額 50分の1以上 制限なし
償還までの期間 5年前後が多いが自由 5年前後が多いが自由

少人数私募債は縁故者や会社の関係者に発行対象が限定されます。プロ私募債は機関投資家という投資のプロに売るので、実際の購入に当たっては投資家の目で厳密に査定され、買い手がつかないケースもあるので注意してください。

銀行等の引き受け

私募債は大きく分けて、少人数私募債とプロ私募債の2つですが、それ以外に「銀行引受私募債」というものがあります。これは、銀行が私募債を購入してくれるというものです。「購入者が見つからない」というリスクはなくなりますが、「債務代理人手数料」「引受手数料」「登録手数料」「元利金支払手数料」など様々な手数料が発生します。

私募債発行から償還までの流れ

私募債発行から償還までは以下の流れになります。償還については会社法に規定があり、それに則り進めます。

①事業計画・募集要項・勧誘書類の作成

目的となる事業計画を立てます。募集要項や買いたくなる勧誘書を合わせて作成します。

②社債発行を決議する

社長の独断では社債の発行はできません。取締役会や株主総会の議決が必要です。

③社債引受人の決定

少人数私募債の場合は49人以内の制限があります。実際に購入しなくても勧誘しただけで引受人数としてカウントされるので注意してください。

④社債取得者の勧誘・申し込みの受付・審査

実際に社債を購入してくれる人に説明し、審査を行います。

⑤発行総額決定・募集決定通知書の作成

勧誘終了後、社債引受人の総数や発行総額が決定されます。同時に社債購入の振込口座を案内します。

⑥振り込みの確認・社債券の発行

社債引受人からの振り込み後、社債券を送付します。株券のようなものです。

⑦社債原簿の作成
社債引受人の情報を記した「社債原簿」を作成します。これは会社法で作成が義務付けられているので必須です。

⑧社債の償還

償還期間が終わると各社債引受人に元金を返還します。

参考:会社法702条

私募債を活用するためのポイント

私募債を有効活用するためのポイントをまとめました。

情報開示

機関投資家に買ってもらうためには、会社の透明性が不可欠です。積極的な情報開示がキーになります。

社債管理の徹底

少人数私募債の場合、身内縁者を中心に社債を販売します。身内とはいえ、法律で定められた資金調達方法です。争いになることを避けるためにも、管理の徹底は重要です。

適切な社債利率を設定

適切な利率の設定も必要です。低すぎても買い手がつきませんが、高すぎても償還が難しくなります。ちなみに国債の利率は2020年8月31日現在0.05%です。100万円買っても利息は500円(さらに税金が引かれる)、これを目安にどのように利率を設定するのか重要です。

償還までに計画的に資金を準備

銀行からの借り入れと違い、私募債は償還日に元本を一括変換します。毎月元本+利息を返済する借り入れとは違うので注意してください。

償還日に償還できない場合は早期に社債購入者に連絡

実際に償還できない場合は、早期に社債購入者に連絡し、遅延について承諾を得なければなりません。

私募債を活用して資金調達を円滑に進めよう!

私募債での資金調達はメリットもデメリットもありますが、融資に頼らない資金調達方法を確立しておくことで、リスクを分散させることができます。返済(償還期限)も比較的自由に設定できるので、長期的な経営計画を補完する資金需要の確保に最適です。
ただし、実際は発行までのハードルが高く、「銀行引受私募債」での取扱いが大部分を占めているのが実状です。
「銀行引受私募債」については、発行にあたり引受手数料などの手数料が発生しますが、発行は一定の適債基準をクリアした優良企業に限られる為、お客様の対外的なイメージアップにつながる側面もあります。また、「保証協会保証私募債」や「SDGs私募債」などもあり、資金調達の際には「銀行引受私募債」も一つの調達手段として検討してみてはいかがでしょうか?

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