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第4回 銀行は会社をどのように評価しているか?~ 「銀行のクセ」シリーズ 10 ~

(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

企業オーナー、社長の皆さん、「銀行は会社をどのように評価しているのか?」の第4回です。「会社格付(定量評価の方法)」の続きを説明します。(第1回と第2回は、「決算書を渡した時」、第3回は「決算書チェック」と「会社格付のスコアリングモデルや債務償還年数」についてでした。)

債務返済能力の中でも「債務償還年数」に注目

もう一度、会社格付の配点表を見てみましょう。

前回説明したように、「債務償還年数」がポイントになります。

債務償還年数のイメージ図

債務償還年数とは、「《借金》を《事業のキャッシュフロー額=年間の手取り》で返すと何年か?」でした。それを、イメージ図にすると以下のようになります。

会社の格付評価では、商売のサイクルから生じる負債と金融機関からの借金を区別しますので、図の左側、借金の計算が少しややこしくなっています。ただ、この指標は、借金を返す「年数」としてイメージしやすく、時系列、他社、他業種の間の比較が簡単にできます。
定量評価が終わって融資の微妙な判断をする時にも、貴社の担当銀行員と審査部は、「債務償還年数」について頻繁に議論し、比較検討していると思って頂いていいと思います。

会社の安定度の基本 ~自己資本の厚さ~

次に配点に影響が大きいのは、「自己資本」です。下の配点表をご覧下さい。「自己資本」は、自己資本比率、ギアリング比率、固定長期適合率、自己資本増加率の4項目に影響します。

自己資本は、会社の元手、返済期限のない資金であり、外部から資金を借りずに事業を行っている部分です。特に、過去の利益の蓄積である「利益剰余金」の厚さが自己資本の厚さにつながっていれば、安全性は高いと言えます。
そのため、配点13項目の内、4項目に影響を与えているのです。

B/Sの右側は、下を大きく

自己資本の話題に因んで、銀行員の「感覚」、「イメージ」をお話します。
バランスシートの右側は、より下の方にあるものが大きいと「イメージ」が良く、評価が上がります。
支払手形、買掛金、短期借入金よりも、長期借入金や私募債で調達できるということは、会社の信用力が高い証拠です。自己資本、特に利益剰余金が大きいということは、高収益が長期間継続したわけです。
下に行くほど、資金を集めるのは大変ですよね。まさにその「感覚」に正面から取り組むことが、格付が上がる、銀行から借りやすくなる、のです。

B/Sの左側は、上を大きく

バランスシートの左側、資産のほうは、逆に上の方にあるもの、現金、当座・普通預金や受取手形が大きいほうが「イメージ」が良化します。借金を返してもらうのに、金目のものが多い、つまり流動性の高い資産が多いからです。
〇棚卸資産はなるべく小さく、できれば販売して現金へ。
〇売掛金はなるべく小さく、現金で回収、あるいはサイトを短く。
〇固定資産、中でも償却できない土地は、なるべく買うのを避ける。

この2つの「方向性」を追求すれば、会社格付は改善していきます。
会社格付における「定量評価」を改善するイメージをご理解いただけたでしょうか?

違和感 ~金目のものばかり追求する銀行員のクセ~

ここで少し脱線しますが、筆者自身、銀行員として「流動性の高い資産、現金が多い企業が優良企業である。」ということに、時々違和感を覚えます。「借金を返してもらうのに、安心できる。」ということに異論を挟むつもりはないのですが、あくまで「銀行員の見方/クセ」であることに、気付かされる時があるのです。

現金で現金を買うM&A? ~B/Sにはないものへの「感性」~

それが分かりやすい形で表面化するが、「企業の買収、M&A」の時です。「現金」が多い「優良企業」を買うということは、「現金」で「現金」を買うことになってしまいます。
会社を買うときにほしいのは、人材、組織、技術、ブランド、顧客層などのはずです。「生き物」を経営したいのであって、「モノ」である「現金」は、二の次ではないでしょうか? (いずれ解体しようとするのなら、話は別ですが。)
確かに、現金が多ければ買収前に、銀行借入れを返済してしまうことが可能です。しかし、「成長」を目指すことは、「目に見えないもの」を重視することであって、「現金」を買うことにはならないはずです。企業オーナーや社長の皆さんからすれば、当たり前ですよね。

担当の銀行員として、皆さんの会社の評価が銀行の中で上がるように、工夫するのが本分です。ただ、経営判断の役に立つためには、流動性の低いもの、バランスシートには出てこないものに対して「感性」のある銀行員になりたいものです。

(作成:企業オーナーonline編集分室/第三銀行 柴田尚郎)以上

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