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第3回 銀行は会社をどのように評価しているか?~ 「銀行のクセ」シリーズ 9 ~

企業オーナー、社長の皆さん、「銀行は会社をどのように評価しているのか?」の第3回です。「決算書のチェックポイント10」と「会社格付(定量評価の方法)」を説明します。(第1回と第2回は、決算書を渡した時に、銀行員がチェックすること、「利益」「純資産」「売上推移、在庫・売掛金」から「借入金と現預金」「メイン銀行と銀行の顔ぶれ」まででした。)

決算書の資産項目の注目3兄弟

「チェック10」は、バランスシートの個別資産項目についてです。

銀行員が、決算書を受け取って、資産項目(バランスシートの左側)に<貸付金>、<仮払金>、<未収入金>の3つ、注目の3兄弟があれば、必ず気にしています。

<貸付金>
「会社から社長へ、あるいは関係会社へ、<貸付金>があるのは、何に使ったのか? → 単なる未処理か?本業以外に投資している?関係会社へ赤字補填?」

<仮払金>
「この<仮払金>は、本来、損益計算書の費用に入れるべきものが混入か? →実際の利益は低いのでは?」

<未収入金>
「この<未収入金>、本来は、売掛金に入れられるものか?→ 未処理か?資料がないのか?別の科目の混入か?」などと、頭の中で考えています。いつ、どのタイミングで質問しようかと。

銀行員が、勇気を出して社長さんに聞いてみると、「そんな細かいことは、経理担当か、顧問税理士に聞いてほしい。」、という態度を取られることもしばしばです。

しかしながら、その銀行員が、この「注目の3兄弟」を支店長や審査部に説明できるか、できないかで融資への判断が変わるだけでなく、これからお話する「会社格付」にも影響します。

格付ソフトによる評価

決算書を3期分受け取った銀行員は、それを「格付ソフト」により「財務スコアリング」を行います。要は、決算書の数値に基づいた「自動計算の通信簿」です。

学校の通信簿は通常5段階で相対評価ですが、会社格付は通常10~12段階で絶対評価。この「自動計算の通信簿」で最初に導かれた数値と評価レベルで、会社格付のほぼ8割は決まってしまいます。

そのソフトによる自動評価ですが、財務スコアリングとして以下のような項目の数値を点数化します。

財務スコアリングの項目

以下の4つの切り口です。

  1. 安全性    商売の元手である資本と負債の関係。
  2. 収益性    利益に対する売上や総資本などの比率。
  3. 成長性    売上、利益、自己資本の伸び率。
  4. 債務返済能力 「借金」や「元金・利息の支払」と「事業の手取り現金」
     等の関係。

決算書の点数化の枠組

表1が、ある銀行、XYZ銀行の格付点数化の枠組です。
実際には、もう少し点数化する項目が多いと思いますが、枠組としては、このイメージだと思います。

4つの切り口で、それぞれ、15点から55点の配点になっています。

  1. 安全性    34点
  2. 収益性    15点
  3. 成長性    25点
  4. 債務返済能力 55点

配点の大きいのは、債務返済能力

全体の4割強の55点が、「4.債務返済能力」に配分されています。
さらにその中の、「債務償還年数」と「キャッシュフロー額」が20点づつ、「インタレストカバレッジレシオ」が15点です。当然、銀行員は配点の多い項目を気にします。中でも、判断への影響の大きい「債務償還年数」に注目しています。

債務償還年数 ~「借金」を「年間手取り現金」で割る~

「債務償還年数」は、「借金の額」に対する「事業の稼ぎ額」の割合です。つまり、借金を、年間手取り現金額=キャッシュフロー額で返したら、何年かかるのか?

借金が多くても、事業の手取り現金が多ければ格付は下がりませんし、借金が少なくても、同手取り現金が少なければ、あるいは、減少トレンドであれば、格付は悪化します。

この切り口は、2つの特徴があります。バランスシートの項目と損益計算書/キャッシュフロー表に跨って計算する。つまり「会社の状態(期末)」と「会社の結果(年間)」に跨って測る。そして、損益計算書の会計上の利益ではなく、キャッシュフロー額、つまり手取り現金を使って計算する。

現金残高を動かすエンジンは、事業キャッシュフロー(手取り現金)

少し脱線しますが、筆者が仕えた上司は、社長さんから決算説明を聞く際の心得を話してくれました。

「売上や利益の上がり下がりは、誰でも説明する。でも、バランスシートの動きを説明する人は少ない。最後は、何が原因で、現金残高が動いたか?そこを意識して聞け。」と教えてくれました。

現金残高を動かすエンジンは事業キャッシュフローであり、借金も事業キャッシュフローで返すのが本質です。損益計算書上、つまり、「会社の結果」で売上や利益を操作しても、バランスシート上、つまり、「会社の状態」の現金、手取りでしか、借金は返せないのです。(それができなければ、資産を売る、資本を増やすなどの方向になります。)

次回第4回では、この「債務償還年数」をもう少し掘り下げて、さらに「会社格付(定量評価の方法)」の続きを説明します。

(作成:企業オーナーonline編集分室/第三銀行 柴田尚郎)以上

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