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日本の財政を救う?アメリカで激論中の「MMT」をわかりやすく解説

MMT
(写真=PIXTA)

MMTとはModern Monetary Theory(現代貨幣理論)の略で、主にアメリカで異端の理論として注目されている考え方。従来の経済理論とはまったく異なる理論であり、多方面でMMTに関する論争が起こっています。国内企業にも影響を及ぼす可能性があるため、これを機にチェックしてみてはいかがでしょうか。

日本でも話題のMMT(現代貨幣理論)とはどのようなものか?

MMTは「モダン・マネタリー・セオリー(=現代貨幣理論)」の略であり、もともとは1990年代に提唱されたものです。当時は一部の経済学者が主張していた理論でしたが、次期大統領選(2020年)の最有力候補であるバーニー・サンダース氏や、米ニューヨーク州立大教授ステファニー・ケルトン氏が提唱したことをきっかけに、主にアメリカで大論争が起こっています。この議論について押さえておきたい2つのポイントを紹介しましょう。

ポイント1:政府の借金を問題視せずに、財政政策を積極的に行う

MMTの根本にあるのは、「政府が発行する国債はどれだけ増えても問題がない」という考え方です。MMTでは、仮に国の借金が増えても、政府が紙幣を刷って国債を買い続ければ問題なく財政政策を進められるとしています。

完全雇用や物価安定を実現する手段として、金融政策ではなく「財政政策」を重視している点もMMTの特徴です。政府が教育や研究開発、インフラなどへ積極的に投資をすることが、国の長期的な成長や景気回復につながると主張しています。

ポイント2:MMTは中小企業に恩恵をもたらす可能性がある

仮に政府が積極的に財政政策を進めた場合、中小企業にも良い影響を及ぼします。例えば、公共事業が増えれば雇用の促進につながりますし、補助金・助成金制度の拡充によって経営が改善される企業も出てくるでしょう。

また、「課税よりも支出を優先すること」が提唱されています。MMTの視点に立てば、消費税などの税負担も減るでしょう。その状態が全国的に広がれば、経済成長によって日本の財政赤字が改善される可能性も考えられます。

MMTに潜むリスクは日本ではどう受け取られているのか?

ここまでだと、MMTは理想的な考え方と感じるかもしれません。しかし、MMTはこれまでの経済理論と大きく異なるため、深刻なリスクが潜んでいると懸念する声も少なくありません。

MMTで最も懸念されているのは、物価が著しく上昇する「ハイパーインフレ」を引き起こすリスクです。市場に流通する貨幣が極端に増えると貨幣自体の価値が暴落し、深刻なインフレを引き起こす可能性があります。インフレは中小企業の経営に甚大な影響を及ぼし、従業員を引き止めるために賃上げの必要も生じるでしょう。

また、伝統的な経済学とまったく異なる理論であり、仕組みや理論モデルが理解しにくいこともMMTの欠点と言えます。

提唱者の1人であるステファニー・ケルトン氏が、「巨額債務を抱えているのにインフレも金利上昇も起きない日本が実例だ」と語ったことなどをきっかけに、MMTは日本でも注目されつつあります。日本の国会でも取り上げられましたが、首相が「MMTの理論を実行しているわけでない」と言及するなど、日本政府はMMTに対して慎重な姿勢を見せました。

他にも批判や懸念の声が多く聞かれるMMTですが、バーニー・サンダース氏が経済政策の支柱とするなど、推進派も国内外に存在しています。今後の議論や経済学者の分析によっては、慎重な意見が優勢である今の状況が一変する可能性も考えられます。

日本の中小企業が考えておきたいこと

今回紹介した内容は、あくまでもMMTの一部です。2019年8月現在は議論の段階であり、現時点でMMTのすべてを理解しておく必要はないでしょう。

しかし、仮にアメリカでMMTの考え方が採用されると、その影響は世界中に広がることが予想されます。業種によっては恩恵を受けられる可能性がありますが、経済状況が一変するリスクも潜んでいるため、引き続き動向をチェックすることが重要です。

特に輸出入業など、海外経済の影響を大きく受ける事業者は、経済状況の変化を敏感に察知する必要があります。MMTは今すぐ採用される理論ではないでしょうが、状況が変化してから対策を考えていては間に合いません。

MMTに限らず、経済状況が変わりそうな時は「何が起こるのか」や「どんな影響を受けるのか」を意識しながら、早めに対策を立てるようにしましょう。

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