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経営者個人保証の「二重取り」が禁止に?事業承継と融資にまつわる最新情報

(画像=mits / PIXTA)

事業承継に取り組む中小企業の実情は、ここ数年大きく変わってきています。2020年4月から適用される、経営者保証に関するガイドラインの特則も大きな変化のひとつです。具体的にどのようなポイントが変わるのか、これを機に情報を確認しておきましょう。

経営者個人保証の二重取りとは?

個人保証の二重取りとは、金融機関が事業承継を進める企業に対して、新旧経営者の両方から個人保証を求めることです。金融機関にとっては貸し倒れのリスクを抑える手段となりますが、その一方で企業の立場では「事業承継を阻む障害」となるため、個人保証の二重取りは以前から問題視されてきました。

そして平成26年2月になると、国はこの個人保証の問題を解消するために、基本的なルール等を定めた「経営者保証に関するガイドライン(※以下、ガイドライン)」を運用します。その結果、事業承継における保証徴求の割合は、以下のように変化を遂げました。

時期二重徴求(二重取り)いずれか一方のみ徴求保証なし
2016年度下期46.1%46.0%7.9%
2017年度37.4%52.8%9.8%
2018年度18.6%71.2%10.2%

上の表を見てわかる通り、ガイドライン運用の効果は着実に表れており、二重取りの割合は少しずつ減少しています。しかし、それでも2018年度の時点では2割弱のケースで二重保証が求められていたため、「将来的に多額の債務を負う可能性がある」などの理由で、後継者自身が承継を拒否するようなケースが多く存在していました。

2020年4月から「経営者保証に関するガイドラインの特則」が適用へ

上記のような現状を受けて、政府は新たな施策を講じます。2019年12月になると、ガイドラインの「特則」という位置づけで個人保証に関する新たなルールを策定しました。

この特則には「新旧経営者からの二重徴求は原則禁止」と明記されており、実際の強制力は伴わないものの、政府は金融機関に対して順守を求める姿勢を見せています。ガイドラインの特則は2020年4月から適用が開始されるため、今後はさらに二重取りの割合が減少していく可能性があります。

また、金融庁が金融機関に対して「無保証融資の実績公表」を求める、弁護士が主導となってルール作りに取り組むなど官民一体の姿勢が見られる点も、中小企業にとっては心強い状況でしょう。

二重取りが認められる?例外として扱われる4つのケース

ガイドラインの特則が適用されるとは言え、すべての二重取りが解消されるわけではありません。前述の通り、特則は強制力がない状態で適用されますし、例外として扱われるケースも存在しているためです。

では、具体的にどのようなケースが例外にあたるのか、以下で4つの事例を紹介しましょう。

1.一時的に二重取りとなる場合

前経営者などの保証解除が予定されている状況で、やむをえず一時的に二重取りとなる場合は、例外として二重徴求が認められます。たとえば、前経営者からの相続が確定するまでの間に、金融機関が後継者からの個人保証を求める場合などがこれに該当します。

2.後継者が前経営者の保証解除を求めていない場合

後継者に対してやむをえず個人保証を求める状況下であり、かつ後継者が「著しく公平性を欠くこと」を理由に前経営者の保証解除を拒んだ場合も、例外として認められている事例です。著しく公平性を欠く状況としては、前経営者に法人からの多額の債務がある、その債務を返済しないと自社の返済能力を著しく毀損するなどのケースが挙げられます。

3.二重取りをしなければ金融支援の継続が難しくなる場合

以下のような理由によって、前経営者と後継者の双方から保証を求めなければ金融支援を継続することが難しい場合は、例外として二重取りが認められる可能性があります。

・前経者から後継者への多額の資産等の移転が行われている
・法人から前経営者と後継者の双方に対し、多額の貸付金等の債権が残存している

ただし、金融支援を実施している金融機関、もしくは元金の返済が滞っている金融機関のみが対象です。

4.前経営者・後継者の双方が保証提供を希望している場合

ガイドラインの特則について十分に説明したものの、前経営者・後継者の双方が「保証提供の申し込み」を申し出している場合は、原則として二重取りをしても構いません。ただし、債権者から要求された状況ではないことを証明するために、自署・押印された書面などが必要になります。

必要な情報はしっかりと収集のうえ、慎重に行動と計画を

事業承継を検討中の企業にとって、ガイドラインの特則は心強い存在です。ただし、現時点では強制力がない影響で、金融機関ごとに対応が異なる可能性があるため、安易に行動を始めるべきではありません。

各金融機関の動向を見極めるなど、必要な情報はしっかりと確認したうえで計画を立てることが重要です。

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