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「個人保証」が事業承継の障害に 中小経営者が知っておきたい政策と対策

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(写真=PIXTA)

事業承継をスムーズに進めるには、後継者の負担を減らすことがポイント。中でも意識しておきたいのは、「個人保証」への対策です。個人保証に対する不安によって事業承継が進まないケースも多いため、中小企業経営者はこれを機に対策を考えていきましょう。

事業承継の障害――そもそも「個人保証」とは?

事業承継を阻む要因はいくつかありますが、「個人保証」もそのひとつです。個人保証とは金融機関などから借入をする場合に、法人の信用力を補完する目的で、経営者本人を人的担保に設定することです。

たとえば、中小企業が事業者ローンなどを利用する場合は、経営者本人が連帯保証人になるケースが主流。このようなケースでは、もし企業の経営が立ちいかなくなった場合に、経営者本人が返済義務を負わなくてはなりません。

事業承継の際には、基本的に経営者本人の個人保証を解除しますが、代わりに後継者が新たな保証人になることを求められる可能性があります。つまり、後継者としては会社や事業だけではなく、個人的なリスクも引き継ぐ形になるため、その不安から事業承継を断念してしまうケースも見られるのです。

したがって、事業承継をトラブルなくスムーズに進めるためには、現経営者が債務や個人保証について十分に配慮することが重要です。

中小後継者は「個人保証なし」に?政府による廃業防止策

この個人保証の問題に対しては、政府も廃業防止策としていくつかの対策を講じています。たとえば、2013年12月には事業承継時の保証契約の見直しについて規定した、「経営者保証に関するガイドライン」が公表されました。一定の条件を満たす必要はありますが、このガイドラインの影響で保証契約が解除される可能性が高まっています。

また、政府は2019年5月に、「後継者に企業の借金の個人保証を求めない枠組みを整える」と発表。この施策においては、一定の条件を満たす事業者に対して、商工中金による融資を「原則無保証化」する方針です。

ほかにも、専門家による支援を受けた場合に保証料が軽減されるなど、中小企業を支援する動きが活発化しています。これらの取り組みは、2020年から実行に移される計画なので、中小企業経営者の方は引き続き注視しておきたいところでしょう。

経営者が考えておきたい、個人保証への対策

金融機関側にもリスクがあるので、必ずしも個人保証を外してもらえるとは限りません。また、個人保証に関する制度が新設されたとしても、要件を満たせない可能性も考えられるため、経営者個人が以下のような対策を講じておくことも重要です。

1.金融機関に財務諸表を定期的に提出する

金融機関に信用してもらうことは、個人保証を外すための最大のポイント。法人としての収益力も重要ですが、資料の提出に協力的な姿勢を見せることも、信用力を高めるためには必要です。

たとえば、決算書や試算表などの財務諸表は、金融機関にとって重要な判断材料になるでしょう。これらの資料を定期的に提出し、経営状況や資金繰りを明確に伝えることが、金融機関からの信用につながります。

2. 経営状態を透明化させる

外から見てわかりづらい経営状態は、金融機関から信用されにくい傾向があります。そのため、以下のようなことに取り組み、可能な限り経営状態を透明化させておくことが重要です。

・事業用資産をすべて法人所有にする
・法人から役員に貸し付けることを避ける
・経営者の個人資産と会社の資産を切り離す など

仮に上記で挙げたような取り組みが不十分であると、会社の資産が個人資産に流れていないことの証明などが難しくなります。今一度、経営者個人の資産や会社の資産を見直し、金融機関から信用される状況を整えておきましょう。

後継者の負担を減らすために、できる限りの対策を

個人保証を解除するかどうかは、さまざまな判断材料をもとに総合的に判断されます。そのため、これまでの返済状況や収益力によっては、特に対策をしなくても個人保証が解除されるかもしれません。

しかし、少しでもその可能性を高めることが重要であり、さらに金融機関との関係性は今後にも大きく影響します。後継者の負担を減らすためには、可能な範囲でしっかりと対策を講じておくことが重要です。

今回解説した通り、事業承継にはさまざまな準備や対策が必要となるので、計画を立てたうえで早めに行動を起こすようにしましょう。

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