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保険への加入が事業承継対策になる?加入前に理解しておきたいポイント

保険
(写真=PIXTA)

多くの中小企業にとって、事業承継時の資金不足は死活問題です。後継者はその負担も引き継ぐことになるため、経営者はしっかりと資金面でサポートすることが重要です。資金対策にもいくつかの手段がありますが、今回は保険を活用する方法について紹介します。

事業承継対策として、保険を活用する重要性とメリット

中小企業が事業承継をスムーズに進められない理由のひとつに、後継者の「資金不足」があります。方法によっては自社株式や事業用資産を買い取る必要がありますし、事業承継後の経営を考えれば、より多くの資金を残してあげることが重要です。

その資金対策として覚えておきたいものに、保険の活用があります。たとえば、後継者が保険金などを受け取れる形にしておけば、資金不足が一気に解消される可能性があります。

事業承継対策として保険を活用するメリットとしては、主に以下の点が挙げられるでしょう。

・承継時の税負担や、承継後にかかる運転資金をカバーできます。
・保険料を損金に計上することで、承継時の株価を抑えられる場合もあります。
・事業承継税制の要件に当てはまらない企業でも、保険による対策であれば取り組めます。

もちろん、事業承継税制を利用する企業にとっても、保険による事業承継対策は効果的です。特に「後継者=法定相続人」である場合には、保険の活用によって資金を直接残せる可能性があります。

事業承継対策に効果的な3つの保険

事業承継対策として保険は効果的ですが、すべての保険に該当するわけではありません。また、保険の種類によって実際の効果も変わってくるため、以下で各種類の特徴や効果を確認しておきましょう。

1.生命保険

経営者が生命保険に個人加入をしておけば、保険期間満了時や死亡時に資金を残せる可能性があります。ただし、保険金の受取人を後継者にしたい場合は、「配偶者・2親等内の血族」にあたる人物を選ぶ必要があるため要注意です。

生命保険を活用するメリットは、発生する保険金に非課税限度があるため相続税が低く抑えられます。

2.逓増定期保険

逓増定期保険も死亡時に保険金(経過年数で段階的に死亡保険金が増加する)を受け取れるものですが、生命保険に比べて保険料が高額になる反面、解約返戻金も早い段階でピークに到達する点が大きな特徴です。毎期支払う保険料の一部を損金計上する事により、会社の利益の平準化に寄与する効果がある他、被保険者(代表者他)の万が一の死亡時には死亡保険金の活用により、事業承継時の後継者の負担を抑えられます。

なお、解約返戻金は加入後5年~10年でピークに達し、その時期に解約をすることで退職金、設備投資など事業資金として有効に活用できます。ただし、最終的には保険料が加入時と比べて約5倍になるうえに、満期保険金が備わっていない保険なので、事業承継の時期をしっかりと見極める事が重要です。

3.長期平準定期保険

保険内容については基本的には逓増定期保険と特徴及び仕組み(解約返戻金がある事など)は類似しています。ただし、保険金額は当初から保険期間満了時まで定額であり、「95歳満期」や「100歳満期」のように、保険期間が長期に設定されている点が大きく異なります。 ※逓増定期保険の場合は当初の死亡保険金は少ないものの、経過年数で段階的に増加し、最終的には当初保険金の5倍程度になる。

また、解約返戻金のピークは加入後20年~30年であり、ピークの状態がやや長く続く点もこの保険の特徴です。逓増定期保険は5年~10年後の事業承継に活用できますが、長期平準定期保険は20年~30年後の中長期的な事業承継対策として効果的です。

「後継者≠法定相続人」のケースでも保険は効果的?

後継者を受取人に設定できないケースでは、経営者の死亡時や解約時に多額の資金を残すことは難しいでしょう。

※通常、死亡保険金、又は解約返戻金は法人に入金され、(死亡)退職金として個人に渡すケースが多い。

しかし、前述でも解説した通り、支払った保険料は損金として一部計上できるため、保険の活用によって株式の買取価格を抑えられる場合があります。

中でも逓増定期保険・長期平準定期保険は、保険料の一部を損金計上する事が可能です。

※税制上、損金計上額は該当保険の最高解約返戻率によって損金割合が確定。

※最高解約返戻率70%超~85%以下であれば当初4割損金計上など、4ケースがある。

※例外として、養老保険(ハーフタックスプラン)は原則、従業員全員加入など要件があるが、最高解約返戻率にかかわらず、年間保険料の2分の1が福利厚生費として損金に計上可能。

後継者に直接資金を残すことは難しいですが、解約返戻金によって経営者の退職金などを用意しつつ、後継者の負担を減らすような使い方ができるでしょう。

後継者とも話し合いながら、まずは事業承継の計画を

いつ事業承継をするのかによって、対策に活用できる保険は変わってきます。そのため、まずは事業承継に関する計画をしっかりと立てることが重要です。

また、スムーズに事業承継を進めるには、後継者が抱えるほかの問題にも目を向ける必要があります。後継者本人とも話し合いながら、慎重に事業承継の計画を立てていきましょう。

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