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【平成31年度の贈与税・相続税の税制改正】中小企業のオーナーが知っておきたい4つのポイントをわかりやすく解説

(写真=PIXTA)

贈与税や相続税の分野においては、毎年のように税制改正が行われています。税制改正の項目は広範にわたり、その内容も複雑であるため、これらを読み解くことは簡単なことではありません。そこで今回は、2019年3月に可決および成立した税制改正項目の中でも、特に中小企業のオーナー経営者に関係がありそうな項目に絞ってポイントを解説したいと思います。

ポイント1:個人事業者の事業用資産に関わる相続税・贈与税の納税猶予制度の創設

2019年度(平成31年度)税制改正の目玉の一つが個人事業主の事業承継にかかる納税猶予制度の創設です。贈与税および相続税の納税猶予・免除制度である「事業承継税制」という言葉をよく耳にすると思いますが、従来、それは自社株式を後継者に引き継ぐ際の法人事業を対象とする制度でした。

しかし、事業を次世代に円滑にバトンタッチしていくという要請は、法人だけでなく、個人事業にもあてはまるものです。そこで、個人事業者の事業用資産を贈与や相続により引き継いだ者に対しても、贈与税や相続税の納税を猶予する制度が新設されたのです。

対象資産の要件や承継計画の提出などクリアすべきハードルもありますが、贈与税や相続税の全額が納税猶予される可能性があり、個人事業者にとっては朗報となる改正といえるでしょう。

ポイント2:特定事業者の事業用資産に関わる小規模宅地等の特例の見直し

小規模宅地等の特例の見直しはこれまでの要件を厳しくする改正です。小規模宅地等の特例とは、相続した宅地が親族などにとって生活の基盤となっているような場合、相続税を計算する際の評価額を減額するものです。

対象となる宅地の中には、面積が400平方メートルまでの範囲で評価額が8割も減額される「特定事業用宅地等」というものがあります。これも事業承継に関連する土地といえます。しかし、相続が発生する直前になって事業を開始し、この特例の恩恵を受けようとするケースも見られました。

そのような形で相続税が回避されることを防ぐため、相続前3年以内に事業の用に供された宅地については、特例の対象から除外されるようになりました。ただし、宅地上に一定規模以上の事業用の償却資産がある場合には特例が認められます。また、小規模宅地等の特例の適用を受ける場合、その土地は個人版事業承継税制の適用を受ける事はできません。

ポイント3:非上場株式等に関わる相続税・贈与税の納税猶予制度の要件緩和

相続税および贈与税の納税猶予制度は、近年の税制改正により優遇の幅が広がり、自社株式を後継者に引き継ぐ際の税負担が実質的に全額免除されるまでになっています。

こうした納税猶予制度においては、「資産保有型会社」や「資産運用型会社」など実業をメインにしていない会社は対象外とされています。そのため、納税猶予されている期間に、これらの会社に該当することになった場合には猶予が取り消されてしまいます。

今回の改正では、一定のやむを得ない事由により、これらの会社に該当するようになった場合でも、6か月以内に該当しなくなった場合は納税猶予が引き続き適用されるよう要件が緩和されました。

ポイント4:成人年齢引き下げに伴う相続税の改正

2018年6月に公布された民法改正により成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることとなりました。これに伴い、相続税法においても関連する年齢の要件が見直されます。

たとえば、上述した非上場株式等にかかる贈与税の納税猶予制度でも、受贈者の年齢要件が20歳から18歳に引き下げとなります。そのため、本改正は将来の承継計画にも影響がある見直し内容といえるでしょう。なお、改正は2022年4月1日以降の贈与や相続から適用される予定です。

法改正によって中小企業の事業承継を後押し

以上のように、2019年度改正は、中小企業における事業承継を円滑に進める上で有利に働くものといえます。後継者不足や相続税負担などを理由に事業の引き継ぎがうまくいっていない中小企業にとっては追い風となる法改正です。ポイントを押さえて新制度を有効に活用したいところです。事業承継税制など複雑な制度の利用に際しては、税理士や金融機関などと連携を図ることが重要です。

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