ホーム > 事業承継・M&A > 納税猶予のメリット・デメリットとは?事業承継税制の押さえておきたいポイント

納税猶予のメリット・デメリットとは?事業承継税制の押さえておきたいポイント

(写真=PIXTA)

中小企業の経営者が次世代の後継者に事業を円滑に引き継いでいくことは、日本経済の発展にとっても重要な課題となっています。このような事業承継を税制面において後押ししているのが、贈与税や相続税の納税を猶予する「事業承継税制」です。

以下では、事業承継税制の概要を確認するとともに、納税猶予を受けるために押さえておきたいポイントを紹介します。

事業承継とは一体どのようなことか?

中小企業の経営者が事業承継を行うということは、具体的にはオーナー経営者が保有している自社株式を後継者に移転させることを意味します。会社法上、企業に対する経営権は株式に集約されています。そのため、株式を後継者に円滑に引き継ぐことが重要となるのです。

預金や不動産などと同様に自社株式も相続財産の範囲に含まれます。そのため、後継者が先代経営者から相続した自社株式にも相続税が課されるのが原則です。また、経営者が後継者に対して自社株式を生前贈与した場合には贈与税の対象となります。

押さえておきたい事業承継税制のポイント

特に事業がうまくいっている企業であれば、自社株式の評価額も高くなりがちです。そのため、自社株式に多額の相続税や贈与税が課される可能性があります。

このような税金負担のせいで後継者が資金繰りに困ったり、株式自体を手放さなければならない事態になれば、円滑な事業承継は阻害されてしまいます。そこで、一定の条件のもと、贈与税や相続税の納税を猶予するための措置として事業承継税制が設けられたのです。

従来からある事業承継税制の「一般措置」では、対象となる株式数について、議決権株式総数の3分の2という上限が設けられています。また、納税が猶予される割合も相続税では80%という制限があります。しかし、2018年度税制改正によって、これらの制限を緩和する「特例措置」が設けられました。具体的には、対象となる株式数の上限が撤廃され、議決権株式のすべてが対象となりました。また、納税が猶予される割合については、贈与税に加え、相続税においても100%とされました。

納税猶予のメリットとデメリットは

制度改正における特例措置によって、事業承継に際して、贈与税や相続税の負担が実質的にゼロとなりました。これは事業承継を控えているオーナー経営者にとって非常に大きなメリットといえるものです。

ただし、株式数の上限や納税猶予割合に関する措置は、あくまで期限付きの特例という取扱いです。そのため、2018年4月1日から2023年3月31日までの間に「特例承継計画」を作成して認定支援機関(税理士、商工会、商工会議所、金融機関等)の所見を記載の上、都道府県知事の確認を受けるなどスケジュール面には気をつける必要があります。

「特例承継計画」の確認を受けていることを前提に、2027年12月31日までに贈与や相続により自社株式を取得することが要件となります。当然、贈与税や相続税に関しては税務申告が伴います。また、税務申告期限までに事業承継税制の適用要件について都道府県知事による「円滑化法の認定」を受けます。

これに加えて、贈与税や相続税の申告期限のあと5年間にわたり、都道府県に対しては「年次報告書」を、税務署に対しては「継続届出書」を提出することが求められます。このように継続的に事務コストがかかる点はデメリットといえるかもしれません。

事業承継税制の要件は念入りにチェック

以上のような手続を経て納税猶予された税額は、最終的には後継者の死亡などにより免除されます。そのため、手続面では大変なことが多いのですが、それを十分に上回るメリットがあるといえるでしょう。

事業承継税制を受けるための要件は多岐にわたります。経営革新等支援機関(認定支援機関)と呼ばれる金融機関や、士業など専門家の支援を仰ぎながら事業承継対策を進めるのが現実的な方法といえます。

≫事業承継に関するお問合せはこちら≪

【オススメ記事】
必見!M&Aで会社を売却する時に注意すべき4つの条件
M&Aで会社を買収した企業オーナーは組織承継も考えよう
初めてのM&A、企業を買収する時に必要な4つのプロセス
事業承継で株価を引き下げた企業オーナーが次に考えることって?
半損、1/3損だけではない?どうして今全損の保険が増えている?