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事業継承と事業承継、それぞれの違いとは?

(写真=PIXTA)

日本は少子高齢化が進み、中小企業経営者の高齢化が進んでいます。大相続時代が目前と迫る今、事業承継を意識する経営者が増加しているのは当然のことだと言えるでしょう。一方、後継者への引き継ぎについては事業継承と事業承継の2種類の意味が用いられる様になりました。それぞれどのような意味で用いられているのでしょうか。

「承継」と「継承」の違い

中小企業経営者は50代後半から60代で引退を考え、60代後半から70歳くらいまでの間に後継者への引き継ぎを終え、セカンドライフを過ごすのが一般的だそうです。事業承継等でよく使われる「継承」と「承継」はニュアンスが違うものの、以下のような意味合いで使われます。

まず、「継承」は、前任者・先代の義務、財産、役職、権利等客観的に見たその人の立場を受け継ぐことをいいます。継承は広義の意味で用いられますが、もともと他の人のモノ・コトだったものを受け継ぎ、自分のものとすることを言います。一方、「承継」は、前任者・先代の事業や理念、精神等目に見えない抽象的なモノ・コトを受け継ぐことだとされています。承継は法律的な要素もあり、法の概要、契約書等では「承継」を使うのが一般的です。

例えば、起業して一代で県内でも有数な企業にまで成長させた父親の会社の後継者になるとします。代表取締役である父親から、代表権と自社株を譲り受けて代表取締役の役職につくという客観的な事実を指す時には「継承」を使いますが、企業理念や今後の事業戦略や企業に対する思いを受け継ぐために、自分の中で親からの教えを理解し、受け入れることは「承継」です。継承はバトンタッチした時にすぐに受け継ぐもの、承継は引き継ぎしつつ理解するものであり、引き継ぐ内容や理解するまでのタイミングが異なります。

後継者には3つの経営資源を引き継ぐ

中小企業庁が2016年に発表した「事業承継ガイドライン」によれば、後継者に事業を引き継ぐにあたり重要になるのは、下記の3つの経営資源だと言われています。

人(経営)

経営権、後継者の選定・育成、後継者との対話、後継者教育

資産

有価証券、事業用資産(設備・不動産等)、資金(運転資金・借入金等)、許認可

知的資産の承継

経営理念、経営者の信用、知的財産権(特許等)、ノウハウ、顧客情報、従業員の技術や技能、取引先との人脈

優秀な人材が不足する中、優秀なマネジメント能力を有する人材を育成していくのは並大抵なことではありません。後継者候補を選定し、育成するのは長い時間を要します。さらに、経営理念や信用、ノウハウなど、他社が真似しづらく差別化が図られた資産も重要です。相続・贈与対策の観点から、土地や建物などの不動産や有価証券等は引き継ぎにあたり書面が多くなりがちで煩わしさもありますが、時間をかけてノウハウ等伝承することに比べる気軽に引き継げる資産だと考えられます。

後継者への引き継ぎで使うのは「事業承継」

中小企業経営者が後継者に事業を引き継ぐ際には法務、税務、労務、人事、経営そのものなどさまざまな課題も一緒に引き継ぐことになるため、中には自分たちでは解決できないものもあるかもしれません。さまざまな専門家の協力を仰ぎながら解決していきましょう。特に第三者へM&Aで引き継ぐ場合には、引き継ぎ時に問題が起こりやすいものです。1つ1つ丁寧にしっかりと取り組むことが重要です。

このように、後継者への引き継ぎは金融資産等を単純に引き継ぐよりも、これまで培ってきた精神性やノウハウ等の知的財産や情報資産が重視されるようになっており、さらには法の元でも使われるのが「承継」であることから「事業承継」を使うことが一般的だと考えられます。向こう10年ほどは事業承継が頻発し、多くの若い経営者が誕生します。その時に、客観的事実として事業継承し、後継者が思うように経営していくのがよいのか、ある程度自分の意思や思いを後継者にしっかりと理解させて事業承継をするのかで、企業としての血の通い方が異なり方向性も変わってくるはずです。

中小企業経営者のあなたが後継者に対してどのようなスタンスで引き継ぎをするのかで事業継承になるのか事業承継になるのかも変わります。引き継ぎプランをよく検討し、永続的に続く企業になるためにはどうすべきなのかよく考えて事業承継を行うのがよいでしょう。

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