ホーム > 事業承継・M&A > 後継者が事業承継中に「やりたいことなのか分からない」と言い出したらどう声をかけるべきか

後継者が事業承継中に「やりたいことなのか分からない」と言い出したらどう声をかけるべきか

(画像=metamorworks/Shutterstock.com)

「やりたいことが見つからない」「やりがいが見出せない」。事業承継中に後継者である自分の子どもがこう言い出したら、経営者はどう声をかけるべきでしょうか。後継者がこうした悩みを抱えると、事業承継が手続き上は無事に済んだとしても、事業の維持や発展には黄色信号がともります。経営者であるあなたも会社はどうなるのかと不安に思うかもしれません。

一方で、これは非常に良い機会ともいえます。なぜなら、後継者に「会社とは何か」「事業とは何か」を深く考えさせるチャンスだからです。この状況を解決し、なおかつ最大限有効に活用するためにも、経営者は後継者自身がおのずと答えを見出せるよう、上手に問いを与えることが重要です。その問いに対する答えを探す中で、後継者の企業経営に対する理念もきっと形作られていくはずです。

「求められていること」に取り組む重要性を見出せるように

まず、経営者が後継者に対して「やりたいことに注力したらどういう結果を招くのか」という問いを与えて考えさせるというのは、有効な対応策の一つです。会社経営においては「Product Market Fit」(PMF)という概念があります。これは、顧客や市場が求める製品やサービスを提供することが、会社を成功させる一つの鍵になるという考え方です。

自分のやりたいことを見つけたとしても、それが顧客や市場の需要に反すれば、それは「Product Me Fit」、すなわち後継者の独りよがりになってしまいます。後継者に「どちらのPMFを選ぶのか」と質問してみましょう。後継者がこのことを考える過程の中で、おのずと「やりたいこと」よりも「求められていること」に取り組む重要性に気が付けるかもしれません。

会社が存続する社会的意義を見出せるように

やりたいこと探しをしている後継者は、自分のことしか考えておらず、会社が存続することの社会的意義に気づいていないおそれがあります。会社が存続する社会的意義の一つに「雇用の維持」があります。これは従業員の生活を支えることです。後継者に「従業員は失業したらどうなるか」と質問を投げかけたり、従業員の家族にまつわるエピソードを共有したりすることは、後継者が会社存続の社会的意義に気づく良いきっかけになるはずです。

従業員の家族も招いた社内行事を開催し、より実感が沸きやすい機会を提供するのも良いでしょう。「納税の意義は何だろう」と聞いてみるのも一つです。「法人税はどのように使われているのか」を調べる過程で、社会的貢献としての企業活動の意義を自然と見出してくれるかもしれません。

本当の「価値」への感動からやりがいが見出せるように

後継者にとって自社の製品はどう見えているでしょうか。売り上げを生み出す「モノ」としか見えていないのだとすれば、その製品が持つ価値に気づけていないかもしれません。例えば、「携帯電話が持つ本当の価値とは何でしょうか」と質問を投げかけたら、後継者は何と答えるでしょう。「どこででも電話をかけることができること」と機能面について答えたのであれば、人間、すなわち携帯電話の利用者にまでイメージが至っていないのかもしれません。携帯電話は想いを伝えるものであり、人と人とをつなぐものでもあります。

そんなときは「自社の製品やサービスがどのように使われているのか見に行こう」と誘ってみるのも一つの手です。利用の実態を知ることは、その製品やサービスの価値を知る一番の早道です。その価値に後継者が感動できれば、自社の取り組みにやりがいを見出すことにつながるでしょう。

困ったときは金融機関に相談してみるのも一つの方法

いくつか声掛けの事例を説明してきましたが、会社の状況や後継者の性格によって、どのような働きかけが適切かは異なります。声のかけ方には模範解答があるわけではないのです。どう声をかけてよいか悩んだときは、銀行などの金融機関の専門家から客観的な助言を受けてみるのも良いでしょう。取引がある金融機関とは永続的に関係が続いていきます。経営者の引退後は中長期的に後継者の良き相談相手にもなってくれるはずです。

>>事業承継のご相談はこちら

 

【オススメ記事】
必見!M&Aで会社を売却する時に注意すべき4つの条件
M&Aで会社を買収した企業オーナーは組織承継も考えよう
初めてのM&A、企業を買収する時に必要な4つのプロセス
事業承継で株価を引き下げた企業オーナーが次に考えることって?
半損、1/3損だけではない?どうして今全損の保険が増えている?