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後継者候補が2人!?会社分割で事業承継がうまくいくパターン

(画像=PIXTA)

企業経営者が事業承継を検討するのは、自身が高齢となり後継者へ会社を引き継がせる必要があると判断するときでしょう。しかし、後継者候補の子どもが2人いて、どちらも優秀であれば一方を代表者として選ぶのが難しい場合もあるでしょう。そういうケースでの事業承継では会社分割が一案です。

事業承継で後継者候補が複数人いる場合に起きがちな不和

後継者不足で廃業を検討する企業もあるなか、後継者候補として擁立できる子どもが複数人いるのは企業経営者としても親としても喜びだといえます。社員教育がうまくいっているという見方もあれば、後継者育成に成功しているともいえます。

ただし、親から子どもに親族内承継を行えば、今後も企業は安泰だと考えるのは時期尚早です。後継者候補の子どもたちが企業を背負えるほどの力量を持ち合わせる場合、後継者の選定をめぐって親族内で揉めるおそれもあります。そのため、後継者指名において親族の理解や協力を得ることは、事業承継後の事業の成功や成長の後押しに繋がります。できるだけ親族内での不和を避ける方法で事業承継を行いたいところです。

また、後継者候補たちがあとで後継者争いをするくらいなら、そのパワーを事業拡大のために使ってくれるほうが会社や従業員たちのためにもなります。そのため、事業承継上の不和が起きそうならば、予め対策を行い、スムーズに後継者に承継できるよう対策を考える必要があるのです。

会社分割で後継者2人への事業承継を成功させた実例

こういったケースで有効な手段として考えられるのは、会社分割によって企業を2 社体制にし、2人の後継者候補をそれぞれの会社の社長に据える方法です。新社長になった2人が経営者としてお互いに切磋琢磨し高め合えば、会社全体の一層の成長も期待できます。

ここで、一代で運送会社を大きくした経営者のAさん(70歳)の会社の事例を紹介しましょう。もともとAさんは愛知で開業しましたが、本社を名古屋に置きつつ、大阪に支社を置くほど事業拡大することに成功しました。60代後半になり、そろそろ息子たちに代替わりをして、事業が永続するようフォローする側に周りたいと思うようになりました。

Aさんには長男と次男がいましたが、新社長には長男、次男には長男をサポートし、ブレーンとなるべく副社長として会社を守ってほしいと考えていました。しかし次男も長男に負けず劣らず優秀で、仕事に対して意欲的でした。さらに、次男には長男と同じくらい会社内外での実績もあり、社内でも上手にチームビルディングを行っています。次男からは、なぜ兄(長男)が兄というだけで社長になるのかと疑問を持っているように思える素振りも見られたことから、最善の方法を探りたいと思いました。

そこで、Aさんは金融機関などの専門家に相談し、色々なアドバイスを受けた結果、会社を2つに分割してそれぞれの会社の代表者に長男と次男を据えることを決めました。会社は2つに分かれても、同じ代表者という立ち位置です。子どもたちは連携を惜しまず、お互いを意識しながら率直な意見も出しあい、結果として、事業承継がうまくいき、会社の成長にも結びついているそうです。

Aさんは「会社分割をせずに長男を社長、次男を副社長に据え、名古屋エリアと大阪エリアでの事業を1社体制で進めていたら、長男と次男がこのように協力しながら会社のために頑張ってくれていなかったかもしれない。もしかしたら内部分裂する日がきたかもしれないと思うと、こういう方法をとってよかった」と思っているそうです。この事例は後継者が2人いる場合に会社分割をして事業承継を成功させた好例であると言えるでしょう。

組織承継も重要なポイントに

(画像=PIXTA)

上記の例のように、会社分割によって2人の後継者に事業承継を行う場合は組織承継もポイントとなります。なぜなら、会社分割ではそれぞれの会社が担う業務に合わせて従業員やモノ・サービス、管轄顧客の移転が行われます。それに加えて、分割対象となった事業における権利義務は分割先の会社に引き継がれるのです。そのため、労働協約や就業規則、労働契約、福利厚生などはそのまま引き継がれるのが一般的です。

もしも、やむを得ない理由で就業規則や福利厚生等の内容を変更する場合は、労使間で協議を行い、代替案を発表して一緒に働く従業員たちの意見をヒアリングするのがよいでしょう。決して経営陣側の都合だけを押し付けず、一緒に働いてくれる従業員が気持ちよく会社の成長や自己成長のために働けるような場の提供を行うべきなのです。従業員の処遇などについては最善の配慮をした上で一定程度必要な説明も誠意を持って行うことが重要です。

また、会社分割後の組織再編を経て、後継者の子どもたちが経営上困らないようにサポートし、軌道に乗せるのも現経営者の手腕によるところが大きいといえます。経営権を譲るにあたり、経営とはどのようなことか、会社の理念や事業、取引先の状況、サポートしてくれる関係者との間柄を伝え、側近たちともうまくチームワークが組めるようにしておきましょう。

会社や家族ごとに事業が異なるからこそ、組織再編が絡む事業承継は早めの検討を

事業承継はそれぞれの会社が抱える現状や親族それぞれの事情によって、柔軟にその枠組みを検討していく必要があります。過去の実例を参考にしつつ自社の実情を総合的に判断し、専門的な見地からの意見にも耳を傾ける姿勢が求められます。自社の永続的な存続を見据えて、あなたも事業承継における後継者のあり方についてよく検討しましょう。

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