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事業承継で永続的に企業が存続するためにどのような経営戦略を立てるべきか

(写真=PIXTA)

事業承継は、経営者の高齢化などにより必要に迫られて行う面がある一方で、永続的に企業が存続するとともに、さらなる成長を実現するチャンスにもなり得ます。そこで今回は、事業承継を機にどのように会社を成長させていくのがよいのか、その成長戦略について考えてみたいと思います。

成長戦略とは何か

成長戦略とは、一言で表現すれば、会社の事業を拡大していくことです。2015年に帝国データバンクが実施した「中小企業の成長と投資行動に関するアンケート調査」で49歳以下、50歳以上から59歳以下、60歳以上から69歳以下、70歳以上の各年代での成長への意識を見ると下記のような結果でした。

たとえば、「売上高を伸ばしていく必要がある」と答えた経営者は49歳以下で79%、50歳以上59歳以下で75%、60歳以上から69歳以下で76%、70歳以上で82%、「雇用を拡大していく必要がある」が49歳以下で77%、50歳以上59歳以下で72%、60歳以上から69歳以下で68%、70歳以上で65%成長こそが企業存続のための条件と考えられていることがうかがえます。

一方で、「リスクを伴ってまで成長したくない」と考えている経営者は49歳以下で16%、50歳以上59歳以下で18%、60歳以上から69歳以下で21%、70歳以上で25%という結果でした。また、「成長にはリスクを伴う行動が必要であるし、積極的にリスクを取るべきだ」と答える経営者は49歳以下で23.4%、50歳以上59歳以下で22.8%、60歳以上から69歳以下で20.4%、70歳以上で17.7%でした。

事業承継を控えた世代を含む多くの経営者が売上拡大や雇用維持のための成長が必要と考えている一方、リスクに対しては控えめな様子が伺えます。

成長戦略を考えるうえで必要な4つの戦略

成長戦略を考えるにあたっては、「製品」を横軸、「市場」を縦軸として4つの戦略に分類するH.I.アンゾフの事業拡大マトリックスが役立ちます。

事業拡大マトリックスでは、既存製品で新規市場を開拓していく「新市場開拓」や既存市場に新規製品を導入する「新製品開発」という戦略が考えられます。

もちろん、まったく新しい製品と市場に打って出る「多角化」という方法もあります。また、既存の製品と市場に集中的に経営資源を投入する「市場浸透」という方法も戦略の1つです。

成長戦略にはどのような手法があるの?

事業承継では、先代経営者が事業の磨き上げの一環として不採算事業などを整理することが考えられます。これは自社の得意分野に経営資源を集中させるもので上述の分類では「市場浸透」に近い戦略といえるでしょう。

また、後継者に経営をバトンタッチしたあと、既存事業にとらわれず新規事業に進出することも考えられます。これは「多角化」に近い戦略といえます。

オーガニックグロース戦略かM&Aグロース戦略か

このように製品や市場を切り口にする分類方法のほか、自社の経営資源だけで成長を図る「オーガニックグロース戦略」と他社の経営資源を積極的に活用する「M&Aグロース戦略」という分類も可能です。

事業承継が親族外承継となる場合、事業を承継する第三者にとってはM&Aによる成長戦略と位置付けることができます。売り手企業にとっても、自社の事業が買い手企業の事業とシナジー効果を生み、将来にわたって成長してくれれば、取引先や従業員を守ることにつながります。そのため、事業承継後の成長戦略まで見据えることが大切といえるでしょう。

成長戦略をサポートする資金調達

事業承継では、経営の安定を図るためにも、さらなる成長を目指すためにも資金が必要となりますが、こうした資金需要をサポートするための制度があります。たとえば、経営承継円滑化法という法律にもとづき、都道府県知事の認定を受けることで、事業承継時の金融支援を受けられる制度がそれにあたります。

具体的には、都道府県知事の認定を前提として、信用保証協会が通常の保証枠のほかに特別の保証をすることができる中小企業信用保険法の特例があります。これにより金融機関からの融資が受けやすくなることが期待されます。

なお、第三者によるM&Aだけでなく、経営陣による株式取得であるMBO(Management Buy-Out)や従業員による株式取得であるEBO(Employee Buy-Out)も考えられます。こうした株式取得では日本政策金融公庫の融資のほか、一部の地方銀行でも取組しており、それらを活用することも考えられます。

成長戦略には事業承継計画が有用

事業承継では一般に5~10年という中長期にわたる事業承継計画が必要となります。計画には事業承継後の事業拡大や設備投資、それらを行うための資金調達に関する見通しも含めることが有用です。つまり、事業承継後の成長戦略も事業承継計画の重要な一部といえるのです。そのため、先代経営者だけでなく、後継者も巻き込んで計画策定に取り組むことが大切といえます。

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