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経営者が娘婿に事業承継を考えるときの3つのポイント

(写真=PIXTA)

自分が経営する会社の後継者に自分の娘の配偶者である娘婿を選ぶ人もいるのではないでしょうか。しかし、実の子どもではない娘婿に会社を引き継ぐ場合の方法や税務上の取り扱いはどのようになるのでしょうか。今回は3つのポイントに沿って、娘婿への事業承継について一緒に考えてみましょう。

娘婿は相続人になるの?

事業承継の方法を考える前に、まずは娘婿が法律上どのように取り扱われるのかを確認しておく必要があります。相続人の範囲は民法で定められていますが、そこでは亡くなった人の配偶者が常に相続人になると決められています。その上で、次の順序によっていずれかの者が配偶者とともに相続人になります。もし配偶者が亡くなっている場合にはいずれかの順位にある者が相続人になります。

・第1順位

亡くなった人の子どもが第1順位となります。もし、子どももすでに亡くなっている場合には、その子どもの直系卑属(子や孫など)が相続人になります。

・第2順位

亡くなった人の直系尊属(父母や祖父母など)が第2順位となります。第1順位に該当する人がいない場合に限って、直系尊属が相続人になります。

・第3順位

亡くなった人の兄弟姉妹が第3順位となります。もし、兄弟姉妹もすでに亡くなっている場合には、兄弟姉妹の子どもが相続人になります。第3順位の人が相続人になるのは、第1順位に該当する人も第2順位に該当する人もいない場合に限られます。

以上のように娘婿は民法で定める相続人の範囲には含まれていません。つまり、事業承継のために自社株式を娘婿に引き継がせようと思うなら、相続の順位に従うだけではいけないことが理解できます。

相続するには養子縁組が必要

娘婿に会社を継がせようと考える場合、相続の法定順位を意識しないといけないことが分かりました。それでは具体的にどのような点に気をつけた方がよいかを確認しましょう。まず、娘婿に自社株を渡す場合は娘婿を「法律上の子」である養子にしなければなりません。

これは「相続時精算課税制度」を活用する場合も同じです。相続時精算課税制度は、一定の要件を満たす場合、通常は相続税より割高となる贈与税に2,500万円の特別控除を認めるとともに、贈与された財産については相続時に控除した金額を相続税に加算できる制度です。

なお、相続税の基礎控除額などを算定する際に法定相続人としてカウントされる養子の数は、被相続人に実の子どもがいる場合には1人まで、被相続人に実の子どもがいない場合には2人までという制限がありますので注意しましょう。

相続にこだわらない人は遺贈という方法も

相続という形式にだわらない場合は娘婿に自社株式を「遺贈」する方法も考えられます。遺贈とは遺言によって財産を分け与えるものです。遺贈であれば相手は相続人である必要はありません。

ただし、被相続人の配偶者や一親等の血族以外の人に対して相続、遺贈、相続時精算課税による贈与をした場合、相続税額が2割増になります。これは「2割加算」と呼ばれるものです。

養子となっている娘婿であれば「一親等の血族」に該当するため2割加算の対象にはなりませんが、養子になっていない娘婿は2割加算の対象となります。つまり、娘婿には養子縁組しなくても遺贈を活用して事業承継できるものの、課される相続税額は2割増になってしまうのです。

事業承継税制の対象になる 検討するのも一手

最後に確認しておきたいのは「事業承継税制(納税猶予制度)」です。これは一定の要件を満たす場合、自社株式にかかる贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。かつて、この事業承継税制における相続人の要件として親族であることが要求されていましたが、現在では親族以外の者に対する承継も対象となっています。

親族というのは6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族のことを指しますので、娘婿は養子縁組をしていない場合でも「3親等以内の姻族」として親族に該当し、従来から事業承継税制の対象となっています。

2018年度の税制改正では事業承継税制の対象となる株式の範囲や納税猶予が拡大される特例が創設され、実質的に贈与税や相続税の負担なしで事業承継することが可能になりました。娘婿への事業承継でも利用できる方法だといえます。

娘婿への事業承継も早めに対策を

娘婿への事業承継は、第三者承継とは異なり、娘婿に多額の資金で自社株式を買い取ってもらうことは想定していない場合が多いかもしれません。それだけに贈与税や相続税の問題が発生しやすいパターンであるとも言えます。今回、紹介した3つのポイントを中心に贈与税や相続税の対策を進めるとともに、娘婿の代に円滑に承継が進むように意識するのがよいでしょう。

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