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「企業買収への資金調達」と「銀行のクセ」2~「無議決権・優先株」の活用~

(写真=PIXTA)

前回の第1回では、「事業リスクの高い案件」、たとえば「企業買収への資金調達」において銀行が融資に消極的になる理由を、「銀行のクセ」を踏まえて説明しました。

前回使った図2-1にあるように、「M&Aによる企業買収」は、「銀行のクセ」、(A)「企業全体クセ」と(B)「過去と現在クセ」への挑戦となり、「銀行融資」による資金調達が難しくなる可能性があるのです。

「銀行のクセ」と「M&Aによる企業買収」

図2-1

そこで、「無議決権の優先株」によるファイナンスを提案してみたいと思います。

「銀行融資」による資金調達と「株式」による資金調達

まず、銀行融資による調達と株式(普通株・優先株)の調達の違いから説明します。(株式については、未上場の株式を想定しています。)

図2-2をご覧下さい。

図2-2

株式による資金調達は、期中の支払いも元金の償還も、業績連動にできるところが特徴となります。要は、仮に業績が悪化した場合、配当を払わなくても、元本割れで償還しても、デフォルトにも銀行取引停止処分にもならないのです。逆に、業績好調であれば、配当を払い、償還する場合は調達元本以上を返済します。いわゆる「アップサイドとダウンサイド」を株式投資家と共有することになります。(また、そもそも、担保・保証は不要です。)

「株式」による資金調達と「優先株」による資金調達

次に、通常の普通株式での資金調達と、優先株による資金調達を比較します。

図2-3

優先株は、議決権がなく、経営権については影響を与えません。一方、配当と償還金額が業績連動するという株式の特徴を備えているため、柔軟な資金調達が可能になります。

優先株の特徴

資金調達としての「優先株」の特徴について、ポイントを「業績に応じて元本が伸び縮みすること」の1つに絞って、ご説明します。まず、前回の図2-4 をご覧下さい。

企業Aは、企業Xを全額借入金(銀行融資)でM&A買収します。企業X=買収後の事業Xの業績が悪化し、資本が毀損。結果的にM&A買収の借入金分だけ負債が増大したことを、誇張して表したものです。

図2-4

それに対して、「優先株」のケースが図2-5です。

図2-5

優先株は、「業績に応じて元本が伸び縮みする資金調達」=エクイティ性ファイナンスであることを簡略化して示しています。買収した企業X=事業Xの業績が悪化すれば、優先株式の評価金額が縮小し、仮に期限が到来しても調達した金額よりも少ない金額での元本返済となります。

企業買収のようなリスクの高い資金使途に、借入金(負債)でファイナンスすると一気に企業全体が不安定になりますが、資本としての優先株で調達できれば、不安定さを緩和できるのです。

「さんぎん成長事業応援ファンド」による優先株ファイナンス

このような「業績に応じて元本が伸び縮みする資金調達」としての優先株を出資する機能のために設立したのが、「さんぎん成長事業応援ファンド(投資事業有限責任組合)」です。

「さんぎん成長事業応援ファンド」から優先株を出資した事例を掲載します。

この事例では、3,000万円の優先株を期間9年で出資します。

【出資条件概要】

配当は、以下のように業績連動となり、利益が上がらなければ、無配にできます。

【業績連動配当事例】

一般的な優先株ファイナンスを活用する目的は、以下です。

【優先株ファイナンスの選択の目的】

このファンドは、ファンドの側から発行企業によるIPO(新規株式公開)・上場をリクエストすることはありません。発行企業による優先株の買取をメインシナリオにしています。あくまで、成長事業の育成や地方創生を目的としているからです。(もちろん、発行企業が能動的にIPOする場合でも、発行企業の資本政策に沿った柔軟な対応を目指します。)

発行企業による買取価格も、以下のような業績連動を前提としており、業績好調の場合も不調の場合も、買取のタイミングについて柔軟に対応します。

【優先株発行企業による、優先株の買取価格について】

優先株ファイナンスに相応しい案件

M&Aによる企業買収、新商品開発など、「事業リスクの高い案件」へのファイナンスとしては相応しい性質を、無議決権の優先株は備えていると言えると思います。

もちろん、実際に調達するためには、妥当性のある事業計画が前提となることは言うまでもありません。

「銀行のクセ」に挑戦する第三銀行にご相談頂ければ、真摯に向き合い、方向性を検討させて頂きたいと思っています。

>>優先株による資金調達についてのご照会はこちら

(作成:企業オーナーonline編集分室/第三銀行 HS)

>>M&Aの専門サイトはこちら

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