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全額損金を狙うだけの節税は損?経費を上手に活用する3つのポイント

(写真=PIXTA)

税金を抑える目的で、無理に経費を増やすケースは多く見られます。仮に全額損金を狙える方法であっても、中長期的に見れば本当に節税につながっているとは限りません。経費を上手に活用するには、本記事で解説する3つのポイントを押さえる必要があります。

積極的な節税は損につながることも

中小企業にとって「節税」は、永遠のテーマとも言える重要な課題。しかし、積極的な節税はときに損につながる恐れもあるので、中小経営者は節税の本当の意味や目的を理解しておくことが大切です。

たとえば、経費を増やす目的でさまざまな商品を購入したとしましょう。この場合、経費が増えたので支払う税金は抑えられますが、不要なモノを購入する方法は「無駄遣い」と同じです。仮に購入したものが全て必要なモノであったとしても、それは本来発生する経費を前払いしたことになるので、本当の意味での節税とは言えません。

また、当期の税金を減らすために翌期にかかる費用を先取りするケースも見られますが、実はこの方法も長期的に見れば節税にはつながりません。仮に50万円を当期分の経費として先取りすると、翌期分の経費が50万円減少するので、「当期+翌期」の観点から見ると負担する税金はほぼ同じです。

「経費を増やすこと=節税ではない」点は、最初にしっかりと理解しておくことが重要です。そのうえで、経費を上手に活用する3つのポイントを以下で見ていきましょう。

1.将来の利益につながる節税を意識する

将来の利益につながる節税とは、すなわち「投資」のこと。多少の費用がかかっても、将来的にその費用を利益として回収できるのであれば、節税と売上増の2つを一緒に実現できます。具体的な投資としては、主に以下のような方法が挙げられるでしょう。

・生産性を向上させるための設備投資
・知名度をアップさせるための広告宣伝費
・取引先との関係性強化や人脈の拡大につながる交際費

上記の中でも「設備投資」は、新品の設備を導入することで法人税の税額控除を受けられる可能性があります。たとえば、中小企業が特定の設備を導入して「中小企業投資促進税制」が適用されると、取得価額の7%または10%相当額の法人税の税額控除が認められます。

2.リスク対策につながる節税を意識する

従業員の離職や倒産など、会社のリスクを抑えるような経費の使い方も有益です。多少のコストがかかっても、たとえば以下のようなリスク対策に取り組んでおけば、安心して事業に取り組む環境を整えられるでしょう。

リスク対策として効果的な手段 主なメリット
・法人保険への加入 ・万が一の際に補償を受けられる
・解約返戻金を積み立てられる
・共済制度への加入 ・取引先の倒産に備えられる(経営セーフティ共済)
・経営者や役員の老後の生活資金を積み立てられる(小規模企業共済)
・福利厚生の充実 ・従業員の体調やメンタルを整えられる
・求職者にアピールすることで、人材不足を解消できる

上記のうち「法人保険」は、2019年に損金算入割合が縮小されました。以前に比べると節税効果は下がっていますが、それでも「万が一の事態に備えられる」というメリットに変わりはありません。

また、小規模企業共済のように多くの掛金を損金算入できる制度も存在するので、さまざまな制度の概要に目を通したうえで、「節税+リスク回避」の2つの観点からとるべき対策を選ぶことが重要です。

3.無駄な経費を重ねるよりは、従業員の給与アップを

ほかにも税額控除や旅費規程の策定など、節税効果を期待できる方法はいくつか存在します。しかし、本当の意味での節税につながる手段には限りがあり、単なる税金の「先延ばし」にしか過ぎないケースも少なくありません。

そこで中小経営者がぜひ検討しておきたいものが、従業員の給与アップ。会社の利益を従業員に還元すると、以下のようなメリットが発生する可能性があります。

・従業員のモチベーションや忠誠心が高まる
・結果として生産性が向上する
・対外的なアピールにつながる(主に求職者)

また、令和3年3月31日までに開始する事業年度については、給与増加分の一部が法人税から控除される「所得拡大促進税制」が実施されています。たとえば、継続雇用者の給与が前年度比1.5%以上増加すると、前年度からの増加分のうち15%が税額控除されます。ただし、同制度には適用要件がいくつか定められているため、給与をアップさせる前に概要を確認しておきましょう。

無理な支出や先延ばしは避けて、最適な経費の使い方を

今回解説した通り、無理に経費を増やすことは節税ではありません。節税は1期などの短期間ではなく、中長期的な効果を考える必要があるので、単なる先延ばしにも大きなメリットはないと言えます。

税金を抑えることだけではなく、そのほかに発生するメリットにも目を向けながら、最適な経費の使い方を考えていきましょう。

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