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法人の節税手段が狭まる?今だから押さえておきたい節税保険の実情と背景

(写真=PIXTA)

これまで節税手段として多くのオーナーから利用されてきた「節税保険」ですが、2019年に入ってから状況が大きく変わっています。政府による規制や各保険会社の動向、既契約への影響など、特に押さえておきたい基本的なポイントを確認していきましょう。

そもそも「節税保険」とは?

「節税保険」は特定の保険商品を指す言葉ではなく、実は明確な定義が存在していません。法人向けに展開されている保険のうち、「節税効果」に重点が置かれたものを総称して節税保険と呼んでいます。

節税保険の大きな特徴は、保険料を損金として計上できる点と、解約時に一定の解約返戻金を受け取れる点。特に返戻率の高い節税保険は、企業の利益を抑えながら解約返戻金を効率的に積み立てられるため、主に経営者の退職金などとして利用されていました。

しかし、本記事で詳しく解説するように、2019年に入ってから節税保険の実情は大きく変わってきています。

2019年2月の通達により、節税保険を販売停止する企業も

節税保険については、実は過去にもさまざまな規制がかけられています。その時代の規制内容に応じて、各保険会社は商品の仕組みを変えながら、節税に活用できる保険を提供してきました。

しかし、2019年に入ってから政府が「節税保険の税務上の扱いを見直す点」と「規制を保険商品全般へと広げる点」を通達したことで、状況は大きく変わります。同年4月には具体的な規制案が発表され、保険商品の「返戻率のピーク」によって損金算入割合を決める課税ルールが設けられました。つまり、中小経営者としては損金算入できる保険料が減少したため、節税保険に加入するメリットが薄れたのです。

この通達を受けて、これまでの節税幅を確約できなくなった生保大手4社は、2019年2月に節税保険の販売を停止。結果的には、これまでいたちごっこが続いていた節税保険に大きなメスが入る形となり、これを機に法人向け保険の役割やメリットが大きく変わりました。

政府が節税保険の規制に向けて動き出した背景

今回政府がこのような規制に向けて動き出した背景には、各保険会社の「販売競争」があります。政府は全額損金に制限をかけるなど、徐々に節税保険の規制を強めてきましたが、特に近年は過度な節税効果を備えた商品が展開された影響で、販売競争がヒートアップする傾向にありました。

中でも政府が問題視していたのは、多くの解約返戻金を受け取れる保険商品に関する「保険料の扱い方」です。退職金としても活用されるほど多くのお金を受け取れるのであれば、それは損金ではなく「資産として計上すべき」という点が政府の見解でした。

そして2019年に大きく規制されたことで、現在は法人向け保険の在り方が問われている状況です。保険商品の本来の目的である「保障内容」が見直される影響で、近い将来法人向け保険の形が大きく変わってくる可能性があるでしょう。

既契約は従来のルールが適用される

法人向け保険に関する新ルールが適用されるのは、「令和元年7月8日以後」に締結した契約です。解約返戻金相当額がない保険についても、「令和元年10月8日以後」の契約には新しいルールが適用されるため注意が必要です。

また、それ以前の過去に契約した保険商品の扱いについては、現時点では「従前の例による」とされています。つまり、既契約には従来のルールが適用されるので、中小経営者は急いで解約をする必要はないでしょう。

ただし、今回の規制内容やこれまでの経緯を考えると、将来的に既契約の扱いが変わる可能性も全くないわけではありません。すでに節税保険に加入している方は、政府や各保険会社の動向をこまめに確認しておくことが重要です。

節税効果は薄れたものの、メリットがなくなったわけではない

今回解説した規制強化によって、法人向け保険の「節税面でのメリット」は薄れました。しかし、保険商品そのものにメリットがなくなったわけではなく、保険の本来の目的は保障にあります。

つまり、保障が充実した保険に加入すれば、仮に保険料を損金に計上できなかったとしても、節税以外の部分で大きなメリットが生じます。経営者が集中・安心できる環境を整えるための保険も存在するので、全ての保険から目をそらすべきではありません。

また、法人向け保険の特徴はその時代背景によって変わってくるため、引き続き政府や各保険会社の動向をチェックしておきましょう。

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