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法人向けの節税保険に規制強化の動き――中小経営者が今後意識するべき2つのポイント

(写真=PIXTA)

節税対策として、多くの企業から利用されてきた「法人向け定期保険」。昨今では政府が規制強化の動きを見せたことで、加入するメリットに変化が生じてきています。どのような変化にも対応できるように、中小経営者は政府の動向を確認しておくことが重要です。

法人向け定期保険とは?

法人向け定期保険とは、その名称の通り法人向けに展開されている保険商品のことです。細かく見ると多くの種類がありますが、逓増定期保険やがん保険などが含まれる「生命保険」と、火災保険をはじめとした「損害保険」の2種類に大きく分けられます。

法人向け定期保険の魅力は、経営者の死亡などの事業保障対策として活用できる点だけではありません。支払った保険料を損金として計上することが可能であるため、近年では「節税・決算対策」として利用されるケースが多く見受けられました。

節税保険は規制の対象に?これまでの経緯と現状

万が一の事態に備えつつ、さらに節税効果や貯蓄効果も期待できる法人向け定期保険ですが、その状況は刻々と変わってきています。中でも節税効果が高い「節税保険」と呼ばれる保険商品に対しては、以下のように少しずつ規制が強化されていきました。

時期 保険の種類 規制などの出来事
1987年 長期平準定期 保険期間のうち前半6割の期間は、2分の1損金として計上されるようになった。
1996年 逓増定期保険 商品の特徴によって「全損、2分の1損金、3分の1損金、4分の1損金」の4つのタイプに整理された。 
2006年 長期傷害保険 保険期間のうち前半7割の期間は、4分の1損金として計上されるようになった。
2008年 逓増定期保険 返戻率が50%を超えるものは、全損としての計上ができなくなった
2012年 がん保険(終身保障型) 保険期間のうち前半5割の期間は2分の1損金として計上されるようになった。

そして2019年2月に入ると、政府は「保険料の損金算入割合をピーク時の返戻率によって決める」「全損として計上できる金額を制限する」などの新ルールを検討。その内容が通達されたことで、各保険会社は解約返戻率が50%を超える商品の取り扱いを一時的に取りやめました。

さらに2019年6月には節税保険の全面規制に動き出すなど、規制強化の動きは着々と強まってきています。

中小経営者はどう動くべき?押さえておきたい2つのポイント

ここまでの規制強化によって、法人向け定期保険の節税効果は薄まりつつあります。中小経営者はその点を踏まえて、今後の動き方を慎重に考えることが重要です。

そこで以下では、今後に向けて経営者が特に押さえておきたいポイントをまとめました。

1.節税効果以外のメリットにも目を向ける

2019年の規制強化によって、契約日が令和元年7月8日以降の法人保険については、今後は以下のように取り扱われます。

解約返戻率のピーク 保険料の取り扱い
50%以下 全額損金
50%超~70%以下 保険期間の当初4割は、60%を損金として計上
70%超~85%以下 保険期間の当初4割は、40%を損金として計上
85%超 当初10年間は、「保険料×最高解約返戻率×0.1」を損金として計上

上記のように変更が加えられたことで、節税という観点から言えば法人向け定期保険のメリットは大きく薄れました。ただし、保険商品の本来の趣旨は「保障」であるため、活用の仕方によっては節税効果以外にもメリットが生じます。

保険への加入は万一の事態に備えられますし、養老保険のように福利厚生として利用できる商品もあるため、視野を広げてさまざまなメリットを意識することが重要です。

2.既契約をすぐに解約する必要はないものの、今後の動向に注目を

契約日が令和元年7月8日以前の保険の取り扱いについては、「従前の例による」とされています。つまり、現時点では過去の契約までは遡及されない形となるので、既契約を急いで解約する必要はありません。

ただし、中途解約を前提にした商品設計の法人保険については、今後も規制が強化される可能性があります。短期間で状況が変わっても適切な対応ができるように、引き続き政府の動向をこまめにチェックしておきましょう。

短期間で状況が一変することも想定し、こまめに動向のチェックを

2019年に規制強化が保険商品全般に広がったことで、保険会社や中小企業には激震が走りました。法人向け定期保険の意味合いが大きく変わったため、各商品の特徴やメリットをこれまで以上にしっかりと理解することが求められます。

また、数年後にはさらに状況が一変する可能性も考えられます。将来的に加入する予定の保険はもちろん、すでに契約済みの保険も意識しながら、政府や各保険会社の動向をこまめに確認することが重要です。

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