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数年後会社売却に備えて 後継者がいない中小企業経営者がすべき4つの対策

(写真=PIXTA)

後継者がいない中小企業経営者は「廃業」か「第三者承継」の選択に悩むものですが、目先の事業が忙しい場合、事業承継や後継者を考えるのを後回しにしがちです。しかし、第三者承継を選ぶなら、企業価値を高めて売却したいはずです。そこで、今から数年後のM&Aに備えて会社の価値を高める方法を考えてみましょう。

後継者不足が深刻化

2017年に経済産業省が発表した「中小企業・小規模事業者の生産性向上について」によれば、「後継者不足により、2025年までに中小企業の約127万社が廃業する可能性がある」という試算が行われています。これは、約650万人の雇用が奪われ、約22兆円のGDPが損失する示唆でもあります。

2025年には約245万人の中小企業経営者、個人事業主が70歳以上に達しますが、3分の1の企業では後継者が未定です。特に地方では経営者の高齢化が深刻な問題となっており、後継者が決まらないばかりに、安定した黒字業績の企業でも廃業する選択をしています。こういった状況を踏まえ、政府もこの課題に対し、若い世代へスムーズな代替わりが行えるよう、施策を進めています。

数年後の企業売却に備えて今からできる4つのこと

数年後に大型アライアンス締結の見通しが立っている、新規事業が軌道に乗りかけている経営者の場合、事業承継よりも目先の事業拡大に意識が向きがちになるものですが、事業承継は事業戦略と同様にサクセッションプランを決めて計画的に進めるべきです。第三者承継の場合、買い手探しから契約、実際の引き継ぎまで多くの時間を要します。そのため、来るべき事業承継時に備えて、今からできることを行いましょう。

●その1. どのような条件で売却したいのかM&Aの条件を検討する
M&Aで第三者に会社を売却したい場合、どのような条件で売却したいのかを書き出します。例えば売却価格、相手方の規模、従業員の処遇など条件を書き出したうえで、その条件が現実的か確認するために業界やM&A市場の情報収集に努め、企業売却までに必要なことを整理しましょう。

書き出した条件が現在のM&A市場の条件とあまりにもかけ離れているなら軌道修正が必要ですし、今後の法改正次第ではさらに大きく売却価格が変動するかもしれません。現状をよく分析する力が求められます。

●その2. 現状の企業価値を確認
次に、現在の業績から改善点や事業承継に備えて成長できる点がないかを考えます。抜本的に事業を見直せば業績悪化のリスクもあります。企業価値を高めるための設備投資や不採算事業の見直しを検討するなら、それによって生じるリスクも考えるべきです。バランスシートが大きく崩れて企業価値が悪化しそうなことは控えましょう。あくまでもすぐに結果が見えるものを進めるようにします。

また、経営者の優秀さや信用度によって支えられる事業などの業務は早めに従業員に引き継ぎし、経営者依存の経営ではないことを買い手企業に見せる努力も必要です。買い手企業が「社長が勇退したら企業価値が下落するのでは」とリスクを感じさせない体制構築を行いましょう。

●その3. 決算書に透明性があるのかどうかを再確認する
複数の事業を持つ中小企業経営者は各事業での損益状況の詳細を確認しておきます。例えば、法人名義で購入した不動産や自動車を経営者が使っていたり、不良在庫があったりするなら内容を整理しましょう。また、出資金や時価が不明な有価証券があるなら、現在価値を早急に確認してください。

●その4. 会社の売却時のビジネスリスクを把握する
もう1つ検討したいのはビジネスリスクです。株主が経営者1人なら会社売却がスムーズに進むでしょう。しかし他にも株主がいる場合は、会社売却への理解を得なければなりません。物言う株主や連絡が付きづらい株主がいるなら株式買い取り後の会社売却も視野に入れましょう。買い手に対して状況説明を行い、理解を求める努力が必要です。また、万一社会保険未加入、残業代未払いなど、従業員にかかわるトラブルがないかを把握し、迅速に適切な対応のうえ、会社をクリーンにすることが大切です。

数年後のM&Aに向けて事業戦略の推進と事業承継の計画を両輪で進める

このように数年後の会社売却に向けて後継者不在の中小企業経営者は、事業戦略と事業承継の計画・実行を両輪で進めるべきです。買い手側から良い条件を提示してもらえるよう、企業価値を高める行動を行いましょう。不安に思った時は独断で判断せずに、資金繰りや財務に詳しい銀行や公認会計士や税理士などに相談するなど、サポートしてくれる人たちを増やしておくことが大切です。あなたの意向を反映した方法をアドバイスしてくれるはずです。

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