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中小企業が抱える金融課題とは?経営者が理解しておきたい融資の現状

(画像=blue-planet-studio/stock.adobe.com)

多くの中小企業にとって、「融資」は経営に欠かせないものです。しかし、中小企業はさまざまな課題を抱えていることから、満足に融資を受けられないケースが少なくありません。そこで今回は、中小経営者が押さえておきたい金融課題や融資の現状を紹介します。

中小企業の融資の現状とは?

まずは中小企業の実態を把握するために、政府などが公表している資料を参考にしながら、「融資の現状」を見ていきましょう。

2019年版の中小企業白書のデータを見ると、中小企業向けの貸出金は2013年頃から右肩上がりの状態で推移しています。その影響で倒産件数も徐々に減ってきており、特に2018年には28年ぶりの低水準を記録しました。

貸出金の推移が横ばいになっていた2005年~2012年頃に比べると、中小企業を取り巻く環境は好転しているように見えます。しかし、多くの中小企業が、希望する形で融資を受けているわけではありません。

こちらは2015年に実施されたアンケートですが、みずほ総合研究所が公表した「中小企業における資金調達の実態」によると、中小企業の資金調達方法は以下のような割合になっています。

【1】中小企業が希望する借入方法【2】実際に借入を受けている方法
第1位公的金融機関からの借入
(39.9%)
代表者等の保証による借入
(60.1%)
第2位事業性を評価した担保・保証によらない借入
(38.1%)
信用保証協会の保証付借入
(53.6%)
第3位信用保証協会の保証付借入
(37.4%)
不動産を担保とする借入
(48.7%)

上記の【1】と【2】を見比べると、中小企業が希望する借入方法と、実際の借入方法に差異があることが分かります。多くの中小企業は、担保や保証を必要としない借入を望んでいますが、実際には代表者保証や不動産担保を要するケースが多い傾向が見受けられます。

中小企業が直面する融資の3つの課題

次は、中小企業が直面する「融資の課題」を見ていきましょう。以下で解説する課題をしっかりと理解することが、今後の対策を立てることにつながります。

1.個人保証が大きな負担になっている

金融機関から融資を受ける際に設定する「個人保証」は、起業や事業承継の大きな障害になっています。特に事業承継において個人保証の負担は深刻な課題となっており、倒産件数は近年減少しているにも関わらず、スムーズに事業承継が進まない影響で「休廃業・解散」をする中小企業は増加傾向にあります。

2.経営力に関して、適切な評価を受けることが難しい

経営赤字から数年で黒字へ転換したり、債務超過を解消したりなど、中小企業の経営は短期間で大きく変化するケースが珍しくありません。そのため、中小企業は一時的な財務状況だけで、適切な評価を受けることが難しい傾向にあります。

この課題に対しては、金融機関側の審査能力が求められますが、企業側が積極的に金融機関とリレーションシップを築くことも重要になります。

3.大企業に比べて条件が不利になりやすい

融資金額や金利などの借入条件は、企業の規模が大きいほど有利になります。たとえば、中小企業向けの金利(短期プライムレート)は2009年~2016年までほぼ横ばいであったのに対し、大企業向けの金利(Tibor)は同期間で徐々に下降していきました。

このような借入条件の違いにより、十分な融資を受けられていない中小企業は多く存在しています。

政府や金融機関の働きにより、改善の兆しが見られる課題も

上記で解説した通り、中小企業は融資に関してさまざまな課題を抱えていますが、なかには改善の兆しが見えている課題も存在しています。

たとえば、個人保証については中小企業の負担を軽減する目的で、2014年2月に「経営者保証に関するガイドライン」が適用されました。2020年にも、施策として「経営者保証解除スキームの拡充」を組み込んだ中小企業成長促進法案が閣議決定されるなど、個人保証の負担は徐々に解消されつつあります。

また、地域の金融機関が中心となって「事業性評価」が浸透し始めている点も、中小経営者が押さえておきたいポイントです。担保や保証ではなく、企業の事業内容が直接評価される時代になれば、中小企業の評価や借入条件などの課題も解決に向かう可能性があるでしょう。

最新情報をこまめに確認し、スムーズに動き出せる準備を

融資に関して中小企業はさまざまな課題を抱えているものの、なかには改善に向かっている課題もあります。そのため、状況を悲観し過ぎる必要はありませんが、どのような制度が実施されてもスムーズに動けるように、中小経営者は万全の準備を整えておくことが重要です。

中小企業の融資を取り巻く環境は、政府や金融機関の動きによって変わってくるため、引き続き最新情報をこまめに確認しておきましょう。

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