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寄付金は損金算入に含まれる?法人税との関係性と押さえておきたい注意点

(写真=PIXTA)

法人が寄付をする場合、その寄付金はどのような扱いになるでしょうか。実は寄付金の取り扱いについては、税務上で細かくルールが定められています。ケースごとに扱いが大きく変わることもあるので、実際に寄付をする前に正しい知識を身につけておきましょう。

そもそも寄付金とは?接待交際費として扱われる可能性も 

寄付金とは、簡単に言えば「対価(見返り)を目的にしない支出」のこと。現金などの金銭だけではなく、物品や資産の贈与・供与も寄付金に該当します。

結論から言うと、この寄付金は損金算入に含まれます。ただし、無制限に認めると損金を一気に増やせてしまうため、税法上では「寄付金に該当する基準」と「損金として計上できる金額」の2つのルールが定められています。

ひとつ目の「寄付金に該当する基準」については、主に寄付を行った相手との関係性によって決められています。

・事業との関連性がない相手…寄付金として認められる。
・事業との関連性がある相手…一定の場合を除き接待交際費として扱う。

上記の「事業との関連性がある相手」とは、たとえば取引先や支配関係にある企業を指します。仮に寄付金という名目で贈与・供与を行ったとしても、その実態が接待交際費などほかの項目に該当する場合には、基本的に寄付金としては認められません。

寄付金の3つの種類と損金算入限度額

ふたつ目のルールである「損金として計上できる金額」は、寄付金の種類によって異なります。寄付金は大きく3つの種類に分けられているので、以下で各種類の概要と損金のルールを簡単に見ていきましょう。

寄付金の種類 主な対象(寄付をする相手) 損金計上のルール
・指定寄付金 ・国や地方公共団体
・国公立学校
・日本赤十字社(財務大臣が指定したもの)
・赤い羽根などの共同募金
全額損金
・特定寄付金 ・特定公益増進法人
・認定NPO法人
・独立行政法人
・日本赤十字社(指定寄付金に該当しないもの)
一部損金
・一般の寄付金 ・町内会や宗教法人
・政治団体
・その他指定寄付金
・特定寄付金以外の寄付金
一部損金

上の表の通り、寄付金の種類は「寄付をする相手」によって分けられています。特に公益性の高い指定寄付金はその全額を損金算入できますが、そのほかの寄付金は一部しか損金計上が認められていないため注意が必要です。

「特定寄付金」と「一般の寄付金」の計算式

上記のうち「特定寄付金」と「一般の寄付金」の2つについては、以下の式によって損金算入限度額が定められています。

・特定寄付金の損金算入限度額

損金算入限度額=(所得基準額+資本基準額)×2分の1
 ※所得基準額=寄付金支出前の所得金額×6.25%
 ※資本基準額=期末資本金等の額×(当期の月数÷12)×0.375%

・一般の寄付金の損金算入限度額

損金算入限度額=(所得基準額+資本基準額)×4分の1
 ※所得基準額=寄附金支出前の所得金額 ×2.5%
 ※資本基準額=期末資本金等の額×(当期の月数÷12)×0.25%

いずれもやや複雑な計算式ですが、課税所得に大きく関わる部分であるため、寄付の実施前にはしっかりと確認しておきましょう。

節税効果を期待して寄付をする際の注意点

ここまで解説した通り、税務上で寄付金として認められるには「無償の贈与・供与」が前提となります。たとえば、寄付金を支払ったことで対価が発生したり、将来的な取引に良い影響が生じたりする場合には、原則として寄付金には認められません。

また、未払い段階の寄付金は損金として認められない点にも注意が必要です。寄付金を損金計上するためには、金銭や物品などの形で実際に支出をすることが求められます。

ここまでをまとめると、寄付金を損金計上できれば法人税は下がりますが、社会貢献や地域活性化以外のメリットは発生しない恐れがあります。つまり、寄付金を支払うことで支払った金額以上の節税効果を発生させることは難しいので、その点はしっかりと理解しておく必要があるでしょう。

寄付は目的を明確にしておくことが重要

節税効果のみを狙った場合、寄付金は効果的な手段とは言えません。全額の損金算入が認められないケースもあるので、基本的には「支出を抑えた形で社会に貢献したい」と考えている方に適した方法です。

また、今回解説した中でも、特に接待交際費との違いはしっかりと理解しておきたいポイント。仮にその意思がなかったとしても、何かしらの対価が発生すると寄付金を損金として計上できない恐れがあるので、寄付の目的は事前にはっきりさせておきましょう。

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