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メンタルヘルスケアはもはや経営課題 職場のストレスコントロールが重要な3つの理由

(写真=PIXTA)

昨今、メンタルヘルスへの関心が高まっています。職場のストレスコントロールがうまくいかなければ、労働者の離職や生産性の低下、事故やトラブルの増加を引き起こします。そんな状況を防ぐために、経営者が覚えておきたい職場でのメンタルヘルスケアの現状やポイントを解説します。

大企業より中小企業のほうが対策実施率は低い

まず職場のメンタルヘルスに関する調査データをひもとき、現状を紹介しましょう。

厚生労働省が2018年8月に公表した「労働安全衛生調査(実態調査)」の結果によれば、「現在の自分の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある」という労働者は全体の58.3%に上っています。

その理由としては「仕事の質・量」が62.6%で最も多く、「仕事の失敗、責任の発生等」が34.8%、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」が30.6%、「役割・地位の変化等(昇進、昇格、配置転換等)」が23.1%と続いています。

この調査では事業所に対するアンケートも実施しております。その結果によれば、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は58.4%に留まっています。

さらに詳しくデータを読み解いていくと、事業所の規模が小さくなればなるほど対策に取り組んでいる企業が少なくなっていることが分かります。従業員が1,000人以上の大企業の実施率は98.9%に上っていますが、30~49人の中小企業の実施率は67.0%、10~29人では50.2%に留まっています。これが今の日本の中小企業の現状であると言えます。

メンタルヘルスの不調で発生するリスクとは?

メンタルヘルスが不調になると、事業所側は3つのリスクを抱えると言われています。それが「労働者の離職」「業務パフォーマンスの低下」「事故やトラブルの増加」です。

労働者の離職率が高まれば当然、新たな人材を採用するコストが増加していきます。離職率が高ければ学生などの求職者からも敬遠されやすくなり、優秀な人材の確保も難しくなっていくでしょう。またネガティブな要因による離職者が出ることは、職場の士気が低下することにもつながります。

メンタルヘルスが不調になれば、その人個人の生産性も低くなります。病欠などが続けば、チーム全体の事業進捗にも影響が出てきます。また集中力の低下や注意力が散漫になることによって、事故などのトラブルも増加する可能性が出てきます。

こうしたリスクは労働者本人のためにも会社のためにも回避するべきですが、では職場ではどのように対策を進めていけばよいのでしょうか。

どのような対策が必要か、またどのような取り組み方がベストか

厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針)を策定し、事業者に実施を呼び掛けています。この指針ではまず、メンタルヘルスケアを進めるための組織作りを行った上で、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回していく重要性を説明しています。

さらにメンタルヘルスケアの推進においては、労働者による「セルフケア」、管理監督者による「ラインによるケア」、産業医や衛生管理者管などによる「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、専門家などによる「事業場外資源によるケア」の4つのケアが継続的に実施されることが重要だとしています。

この4つのケアを適切に実施するためには、組織内で連携し、①教育研修・情報提供、②職場環境などの把握と改善、③メンタルヘルス不調への気付きと対応、④職場復帰における支援を積極的に行うことがポイントです。

また同指針では、職場におけるメンタルヘルスケアの取り組みを進める際には、労働者それぞれの個人情報の保護が重要で、取り組みを通じて得た労働者のメンタルヘルスに関する情報を使い、解雇や退職勧奨などの不利益な取扱いを行ってはいけないことも指摘しています。

事業外の資源の積極的活用も視野に

メンタルヘルスケアは「心身」の「心」に関する取り組みです。目には見えにくいものだからこそ、丁寧で慎重な対策が必要になると言えます。

厚生労働省では、中小企業におけるメンタルヘルスケアの取り組みとして、「セルフケア」および「ラインケア」を中心に、できることから着手することが望ましいとしています。メンタルヘルス対策の担当者を確保できない場合は、必要に応じて地域産業保健センターなどの事業外資源を積極的に活用することも効果的です。メンタルヘルス指針や専門家の意見なども参考にしながら、計画的かつ継続的に取り組んでいくことを心掛けましょう。

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