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仕組みを知ることは重要!逓増定期保険の名義変更のメリットと注意点とは

(写真=PIXTA)

自らの引退を見越して逓増定期保険などの法人保険によって役員退職金や死亡慰労金にあてるなど、何かしら事業承継の対策をとる中小企業経営者は多いのではないでしょうか。彼らの中には法人名義で逓増定期保険の契約を行い、きたるべき時に個人へ名義変更して保障を持ち続けるケースもあります。しかし、逓増定期保険の名義変更プランには注意点もあります。

逓増定期保険とは

逓増定期保険は法人用に設計された掛け捨てタイプの保険です。法人が毎年利益を出して成長を続ければ、その分経営者に対する保障も厚くする必要があります。逓増定期保険は企業の成長を想定した保険設計が行われており、保険期間が長くなるほど保険金が増えていく仕組みで、最大で5倍まで増えていきます。

逓増定期保険は契約してから比較的短期間で返戻率のピークが訪れるのが特徴で、ピーク時期を迎えるのは大体数年から10年以内くらいです。当然、ピークをすぎると解約返戻率が下がりますから、受け取れる解約返戻金も低くなります。こういった仕組みの保険のため、将来に向けた資産形成のほか、節税対策として活用されており、ピーク時期が異なる全損、1/2損金、1/3損金の保険を組み合わせて契約し、保険の機能を効率的に活用しているケースも見受けられます。

逓増定期保険は名義変更ができる?

低解約返戻金型の逓増定期保険の契約を行うと契約者の名義変更が可能です。法人から社長個人に名義変更するとそれまで法人でかけていた保険料が損金計上されるだけではなく、法人契約を行った時にさかのぼって保険料が計算されるので、個人で新たに保険契約を行うよりも保険料が割安になるメリットがあります。

ただし、保険会社によって対応が異なるため、すべての逓増定期保険で名義変更ができるわけではありません。また、逓増定期保険の名義変更を行う際には、国税庁から出されている通達に従って適正な経理処理をしておく必要があることにも留意しておきましょう。

過去には否認されたケースもある!?逓増定期保険の名義変更

逓増定期保険の名義変更には注意点もあります。これまで一般的に逓増定期保険を法人から個人へ名義変更し、解約したら一時所得として確定申告を行えばよいとされていました。しかし、過去には法人契約で養老保険に複数加入し、法人から個人への名義変更を行ったものの、一時所得の申告をしていなかったことが原因で否認されたという判例がありました。この事例は養老保険であるものの、法人から個人へ名義変更を行って解約返戻金を一時所得扱いとする流れは同じですから、逓増定期保険の名義変更についても注意しなければならないことが分かります。

この判例では、会社として保険契約について取締役会で話し合いが行われ、保険契約譲渡を行った契約が議事録に記載されていなかったことが争点でした。税務調査で法人から個人への名義変更の理由を問われた時に「節税目的」だと判断されないように、会社の合議から経理処理まで正しく行う体制が求められます。

逓増定期保険名義変更、これからどうなる

こういった状況を受け、2018年以降、保険会社は法人から個人へ名義変更された場合は支払調書(生命保険金等の支払い)に保険料支払時の契約者や払込済保険料の記載が必須となりました。

さらに、国税庁が保険料の全額を損金計上できる保険がある点を問題視し、支払済保険料を損金算入できる範囲に制限をかける検討を始めることを受け、経営者向けの保険の販売を一時取りやめる方針を固めた保険会社もあります。逓増定期保険の名義変更にもどれくらいの影響があるのか、現時点ではわかりませんが、今後の国税庁がどのように考えるのか注視する必要があります。

また、現在法人契約を行っている逓増定期保険の名義変更について迷う場合は、金融機関や税理士などの専門家に相談し、対応を見極めるのがよいでしょう。

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