ホーム > 経営 > 後継者不足で会社の売却を検討する時に考えたい4つの視点

後継者不足で会社の売却を検討する時に考えたい4つの視点

man
(写真=PIXTA)

引退を検討したい中小企業経営者にとって事業承継は避けて通ることの出来ない課題です。しかし、後継者が不在であるがゆえ、第三者に会社を譲る決断をする中小企業経営者もいるはずです。そこで、事業承継を見越して会社を売却する時に考えなければならない視点について考えてみましょう。

1.売却単価だけにとらわれず「条件」を意識

事業承継における会社売却では、自社株を1円でも高く売却したいと考えがちになります。なぜなら、売却資金を活用して財産を贈与し、その際に生じる贈与税の納税資金に活用する、将来の相続に備えて相続人が困らないように納税資金として準備するなど、さまざまな用途が考えられます。あるいは、これまでサポートしてくれた家族と一緒に旅行をするなど、リフレッシュすることもできるかもしれません。

そのため、いくらで売れるかばかりに気を取られてしまい、その他の条件をきちんと確認しておらず、思っていた条件とは違っていたり、売却先の企業風土や方向性が異なるため従業員たちが働きづらくなるなど、「こういうはずではなかった」と後悔の念を抱く経営者もいるようです。

こういったことにならないように、経営者は売却単価だけではなく、条件を意識することが大切です。

2.役員・従業員など「組織承継」について交渉する

次に考えたいのは人材と組織承継についてです。これまで苦楽を共にしてきた役員、従業員を会社売却によって第三者に譲り渡して終わりとしてしまってよいのかというセンシティブな要素も持ち合わせています。

役員や従業員にとっても、働き方や処遇が大きく変われば不安に思うでしょうし、他社への転職を意識するおそれもあります。そのため、会社を売却する時には売却先の企業風土や組織のあり方に大きな違いがないか、よく確認しておきましょう。そのうえで、従業員に対しても理解を求める姿勢が必要ですし、売却先に対しても組織承継後の働き方についてよく交渉しておくことが残される役員・従業員に対する責務と言えます。

3.自社株の「売却スキーム」をどうするか

当然ながら事業承継を行えば、自社株を後継者に譲ることになります。経営主体や会社の権利関係が誰にどのように引き継ぐのかを決める機会ですから、自社株を渡す時の「売却スキーム」を考えることは重要です。

売却スキームは売却先のM&A戦略に左右されること、交渉の際の主導権の所在、事業そのものにとってベストな状態とはどのような状態なのかをよく考えたうえで、実行する必要があります。

最近では、株式の売却相手として投資ファンドが一定期間介在するケースもあります。オーナー経営から組織としての経営に脱皮し、企業価値を高めた上でスムーズなM&Aにつなげるための施策です。M&Aの成否につながる売却スキームは時間をかけた検討が必要となるでしょう。

4.自社株売却時の税負担をどうするか

企業経営者が自社株を売却すると、株式譲渡によって所得税を納税しなければなりません。役員退職金を利用して自社株評価を圧縮したり、複数の会社を経営する場合に赤字会社と合併することで資産と負債を通算して純資産を減らす方法、会社分割により会社規模の分類を変更するなど何らかの対策を取るのも一案です。

いずれにしても、適用できるケースが限られたり、適正な理由がなければ追徴課税が課せられる場合もあります。

会社を売るかどうかは金融機関に相談するのも一案

M&Aという選択肢は後継者不在の問題を解決するメリットの大きい事業承継の方法です。しかし、第三者がステークホルダーとして加わることになるため、売り手の自分たちの意向だけではなく、買い手の条件等をよく調整する必要があります。それに加えて、納税資金の問題等もありますから、M&Aを本格的に検討する場合には金融機関を始めとする専門家によく相談するのもよいでしょう。彼らはメインバンクとして事業計画や資金繰りなどの相談にのってくれるサポーターですが、M&Aにおいても経営者の意見や会社の状態をよく考えてアドバイスをしてくれます。専門家の意見を聞きながら納得の行く承継を行いましょう。

>>事業承継に関するお問い合わせはこちら<<

【オススメ記事】
なぜオペレーティング・リースに節税効果があるのか、その理由を知る
オペレーティング・リースは会計処理と税務処理に注意を
負債が多く資金繰りが厳しい時は「経営改善計画策定支援」を検討の一つに
資金調達を望む経営者へ エンジェル税制活用法
経営者必見!「逓増定期保険」で節税する時のメリット・デメリット