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企業オーナーが確認すべき事業再生時の資金繰りの注意点

(画像=Freedomz/Shutterstock.com)

事業再生時の資金繰りは、企業オーナーにとって夜も眠れないほどのストレスを抱えてしまうものです。しかし、企業オーナーは企業が「倒産するか」「存続するか」の正念場を「従業員の雇用を守る」という意味で、何としてでも乗り切らなければなりません。

資金ショートの危機を乗り切るためには支払いの優先順位を明確にするだけではなく、中長期的な資金繰り表を作成して回収期間に着目するなど、いくつかの有効な手法を行うことが必要です。今回は、企業オーナーが事業再生時の資金繰りを検討するうえで、注意したほうがよいことについて解説します。

優先順位を不明瞭にしておかない

事業再生時においては取引先への仕入金の支払いや金融機関からの借入金の返済、法人税の滞納などのほか、小切手や手形の不渡り、給料の遅配に関する危機が起きているケースがあります。こうした状況における資金繰りは、これらの遅延や遅配がそれぞれ事業活動に与えるインパクトを冷静に評価し、優先順位をつけて計画的に対処をしていくことが必要です。

● 取引先への仕入金の支払い
取引先への支払いの遅延は信頼の失墜によって取引停止に結びつくおそれがあります。製造業者や飲食業者の場合、取引停止によって原材料在庫が枯渇することは事業そのものの停止を意味します。

● 法人税の滞納
法人税を滞納した場合は、期限の翌日から納付日までの日数に応じて「延滞税」が課されます。滞納が続くケースでは電話での連絡や督促状の送付を経て、財産の差し押さえが行われることもあるでしょう。

● 金融機関からの借入金の返済
金融機関への返済が遅れた場合は、遅延損害金の発生のほか、最悪の場合は期限の利益を喪失し、財産の差し押さえなどとなるケースもあります。

● 小切手や手形の不渡り
小切手や手形の不渡りが2度続くと銀行取引が停止になってしまいます。これは「事実上の倒産」とも呼ばれ、是が非でも避けなければなりません。

● 給料の遅配
給与の遅配は従業員の士気の低下による生産性の低下や退職のほか、訴訟やストライキなどにつながる場合もあります。企業によって事業環境や取引状況は異なりますので取引先や金融機関とも真摯に状況を共有し、支払いを待ってもらえるのかを相談しながら優先順位を決めていくのがよいでしょう。

資金繰り表を短期スパンのものだけにしない

資金ショートを避けるためには、資金繰り表を作成することは不可欠です。さらに、向こう1ヵ月という短期スパンの資金繰り表ではなく、6ヵ月や1年という中長期的なものを作成するほうがよいでしょう。これは、返済先からの信用を最低限維持するためにも重要です。

中長期的な資金繰り表がなければ、相手に実現可能な支払い計画を伝えることができません。そんな中でも返済計画を示すよう強く言われ、その場しのぎの約束をしてしまうと後々困るのは自分自身です。その約束を果たせないことで、さらに信頼は失墜し、事業再生の取り組みに理解を示してもらえなくなるでしょう。

「回収期間」への着目をおろそかにしない

帳簿上は利益が出ていても、支払い資金が足りずに倒産することを「黒字倒産」と呼びます。黒字倒産を避けるためにも、企業取引においては利益額や利益率だけではなく、売上回収までの期間にも着目しなければなりません。

このことは事業再生時以外のときにも言えることですが、特に事業再生時は納品から売上入金までの期間が長ければ長いほど、資金ショートの回避を困難なものにします。しかし、逆に言えば、こうした回収期間に関する問題が緩和・解消されることで、事業再生時の資金繰りが好転する可能性もあるということです。

例えば、販売先の企業が支払いまでの期間の短縮に応じてくれれば、キャッシュフローは改善します。また、支払いまでの期間が長い取引を停止することで、結果的に製造コストなどの削減によって当面の手元の資金に余裕を持たせるという方法もあります。

「数字」のプロが事業再生時は強い味方に

資金繰りが厳しいとき、普段取引のある銀行の担当者などに相談するのも一つの方法です。窮地を乗り切るために、自社を客観視してくれる存在に助言をもらえることは非常に有用です。また、事業再生は「数字」との戦いとも言えます。金融のプロである銀行の担当者は強い味方になってくれるでしょう。

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